虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ルネッサンス」

原題:Renaissance
監督:クリスチャン・ボルクマン
脚本:アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール、マチュー・デラポルト

 黒と白だけのモノクロームを思い切り作り込んだCG映像全編に配することで、きちんと「絵」として映えるように途方もなくライティングを調整して作り上げた労作。


 かなり手間暇がかかっていることは嫌でもわかるんだけど。もったいないよな、と思うのは。ここまで苦労して作り上げた、白と黒の映像美が、「動くと安っぽくなっちゃう」ことなんだよな。結局、これほど鮮烈に見えた世界観も、慣れてくると逆にCGであることの弊害が如実に表れ始める。
 見せ方を工夫すれば、もっと美しい映画になると思うのだがなあ。静止する演技をもっと効果的に使えれば、それだけでも違ったはずなのだが、モーションキャプチャーの「人間の余分な動きまで拾う」欠点が、モノクローム表現の良さを殺してる。この手法にあう演出法を見つけられないまま、凡庸な見せ方に終始してしまうのでは、モノクロームにした意味がない。


 意外と日本アニメからの影響も色濃く、オマージュ的にさらっと似せたキャラを出したりするところは嫌いじゃないんだが、物語としてはさして目新しさは感じないし、かと言って映像も慣れてくると粗が目立ってくる。うーん。結果としては思いの外、退屈な映画になってしまったのは残念。(★★)