虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ベクシル 2077日本鎖国」

監督:曽利文彦
脚本:半田はるか、曽利文彦


 2066年に日本は「ハイテク鎖国」によって、完全に外から遮断されてしまった。それから10年後の2077年、米国特殊部隊所属のベクシルは、鎖国以後、誰も足を踏み入れたことのなかった日本への潜入に成功するのだった。彼女が見た日本の姿とは・・・。




 曽利文彦改め、SORI*1監督最新作。
 なんか異様に評判が悪くて、どんだけのもんが見られるのか楽しみにしてたんだけど。割と最後まで退屈せずに見ちゃったのであった。こんなもんで怒れるわけねーよ。「シェンムー・ザ・ムービー」以下じゃなければ上等だ、ってくらいのもんですから<基準低すぎる。


 いやま、それはともかく。出だしの気合いの入り方は割と好感触だったりする。あの人工的な都市とCGキャラの相性も良く、けっこう「お」と思う。あと演出やコンテの切り方もわりと映画らしく出来ていて感心した。アニメと映画の融合としての、キャラ演出は「アップルシード」よりグッと良くなったと思った。「アタゴオルは猫の森」みたいな「ゲームデモ感」も思いの外払拭されてるんで、結構普通に見入ってるんだけど。


 で。日本に潜入。そこからが、この映画の本領。


 びっくり。一気に安っぽくなる。一言で言って「シェンムー」豪華版、という風情。世界観も、かなり頭悪くて感心しましたね。東京以外は日本にあらず!23区以外は東京にあらず!という妙な割り切りとか清々しすぎる。小学生の落書き並みの発想を、そのままハイクオティCGを駆使して映画化。これはひどい。そしてすごい。トランスフォーマー」より頭悪い映画ですよこれ。だれが見たいのか知らないけれど。
 そしてバビロンプロジェクトの残骸のような、大企業(人、ほとんどいない)への突入が始まる!


 そしてクライマックス。オチが無駄に壮絶。吹いた。シリアスな場面なのにニヤニヤが止まらない。「○タクラサーンナニシテンノー?」的な。いいのか。SORI。


 と思いつつも、それを最後まで見せ切っちゃったのがすごいな、と思う。なんというのかな。曽利監督の「原案」はね、たぶん自分の小学生時代の妄想だと思う。それをここまで見せられる力量は買いたいね。
 SORI監督には是非とも自分の中に眠る「小学生」部分を解放して、とんでもない傑作を撮って欲しいと思います。マイケル・ベイに続くのはSORIしかいない。(★★★)

 

*1:オープニングにクレジットされた監督名。見た後観客が怒る前に「ソーリー、ソーリー、アイム SORI」と謝る遠まわしなギャグなのかも、と一瞬思った。