虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

だいきらいってちょっとすきなこと。


・今、個人的にお気に入りのテレビアニメ「大江戸ロケット」。人気舞台を元に、天保年間の時代考証も踏まえつつ時にみなもと太郎ナイズに軽やかに逸脱する脚本、複数のゲストデザイナーの絵柄を生かしたキャラデザインを混在させて、さまざま地方から人々が集まる江戸のごった煮感を出しながらも、不思議と違和感を感じさせない吉松孝博氏の仕事も見事な作品。
 そんな吉松氏と旧知の仲という椎名高志先生がキャラデザインしたおりくちゃんが第6話に登場。いやあ、見事な椎名キャラになってて、椎名高志ファンの俺にはすごく面白かった。ツンデレというより、幼なじみでひたすら嫉妬しまくりながら暴れる、という恋愛感情の出し方は、るーみっく以来の伝統的なサンデー系ラブコメヒロインの典型で、妙に懐かしい感じ。椎名先生の出世作「GS美神」の美神令子にしてもその例にもれなかったわけで。ただ、こういうキャラがサブヒロインに回ってしまうのは、時代の流れなのかな、とも思ったりする。



・でまあ、話ついでに、今週の「絶対可憐チルドレン」。いよいよ未来と過去の話を混在させて物語の核心に入ってきた感じ。そうなるとはずせないシリーズのキーマンにして変態・兵部先生が再登場してチルドレン(と皆本くん)に本格的にちょっかいを出しているんだけれども、彼がメインに出ると本当に「絶チル」は面白い。
 「絶チル」がサンデーの中で、同系統の作品に比べてどうしても浮いてしまうのは、視点が自然と高くなっているからではないかと思う。椎名先生に限った話じゃないんだけれど、語り手の年齢が上がると、少年漫画を書く場合、世代的に離れているキャラの現在を、そのキャラの視点で書くというのは存外難しい。どうしても外から見た「少女」感を感じてしまう。会話にしても「他人の会話」という感じ、作者とキャラの間に微妙な距離ができてしまう気がする。どうしても「外から見たキャラ」になってしまう感じが、ここんとこの絶チルには顕著だった気がする。
 その世代的な「隔絶」がありながら、チルドレンに関わろうとする兵部というキャラクターが、他のキャラクターに比べて魅力的になってしまうのは、椎名先生にとってもっとも視点が近いキャラクターだからではないかという気がするのである。というわけで、兵部の過去に迫っていくらしい「絶対可憐チルドレン」の今後に期待してます。