「涙そうそう」
監督:土井裕泰
高校中退。貧乏ひまなし。だけど肉体が妻夫木聡で、彼女が麻生久美子。もてねーわけがねえ男が主人公。その男に船に乗って会いに来た彼女の正体は・・・・。
実は血のつながってない人を「にいにい」と呼ぶブラコン女だったのです・・・・。
というわけで、「ラフ」に続き長澤まさみ主演でおくる、あだち充映画化第3弾。えっ?
いやあ、まさか妻夫木聡主演でテレビ局主導のラブストーリーが、「みゆき」の映画化だとは、お天道様でも気づくめえ。「涙そうそう」なんて明らかにタイアップっぽいタイトルだから気がつかなかったけど、血のつながっていない義理の妹と、ふたりっきりで三年間同居、というオタクの心がっちりわしづかみの題材。
アソクミという彼女がいながら、結局妹に萌え狂って振ってしまうという驚愕展開に、悶えること数度。しかもそれをあっさり、アソクミに見抜かれてしまうシーンは、にやにやが止まりませんでした<下衆が。
というわけで、「タッチ」や「ラフ」に劣らず、「あだち色」が強い作品だったりする。駆け足で5年間を描くあたりも、あだち映画っぽい。
ただ、そこに「貧乏」という要素が入ってくるため、ケンカの原因も「俺のためにバイトなんかするな!」「にいにい、私のために無理をしないで」という理由だったりして。それにしても、長澤まさみが「にいにいのバカァ!」*1って叫んでだだっと駆け出すシーンは、ベタベタすぎて笑いましたよ。そして萌えましたよ<ダメ。
ドラマとしては二人の絆を回想をうまく入れることで、この野心的試み(笑)の作品に一般客が引かない程度のエクスキューズを持たせることには成功していて、「お、これもしかしてすごい作品ちゃうか?」と思ったんだけれども・・・。
この2人が結ばれると本格的に「みゆき」になってしまうことを脚本家が恐れたのか、まさかの急展開が待っていた。個人的にはここまで来たらこういうオチはやめてほしかったなあ。これじゃ「涙そうそう」というよりは【「ヨイトマケのうた」】兄妹版じゃないか・・・。もったいない。
こういう泣かせは、個人的にあまり感心しないので★3つどまりで。(★★★)
*1:「バカァ!」って発音もありそでなかなかない。