虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ワイルド・スピードX3/TOKYO DRIFT」

toshi202006-09-23

原題:The Fast and The Furious:Tokyo Drift
監督:ジャスティン・リン


 ルーカス・ブラックが10代の高校生ドライバーを演じる、シリーズ最新作。アメリカならば、この設定はどうなのよ?と思うが、そのおっさんな高校生を「学ラン」が指定制服である高校に転入させたのは慧眼である。


 俺が思うに、学ランはおっさんの方が似合うのである。チャラい若造よりも、竹内力が来たほうが実に様になる。それが学ランだ。
 だから、25歳のルーカス・ブラックに学ラン着せた時点で、この映画は勝っている。決して上出来の映画ではないのだが、この映画がかもし出すヤンマガ感というか、かつての講談社的ヤンキーイズムみたいなものが横溢してたりする。だから、そういう世界だと思うと、そのありえなさが逆にファンタジーとしての東京を浮かび上がらせて面白い。


 ま、あくまで個人的に、なんだけれども。一度老け高校生の学ランを描写を入れると、外人のネーちゃんがあたりまえのように高校にいてセーラー服着てたり、黒人がコンピューターを売りつけようとしたり、東京なのになぜか中国系のマブダチができちゃったりする「ありえなさ」にたいしても、笑ってオーケー!許す!とものすごく寛容な気持ちになるんである。


 そもそもこのシリーズは、一般社会の中で閉塞感を感じ、決して華やかな表舞台には立てない奴らが、裏の世界の中に逆説的なファンタジアを形成する、というのが根本的なスピリットであるが、言わばヤンマガ的世界観と共通項があるのである。ラストに出てくる「あの人」をその「ヤンマガ」世界に違和感なくバチッと収めてみせたあたりに、ジャスティン・リン、わかってんなー、という感じがあった。
 東京の地勢を無視した交通網の使い方*1や、明らかに地図上ではつながらないような東京の公道レースっぷりなどは、もう少しどーにかしてほしいと思うのだが、渋谷スクランブルを高速ドリフトで突っ込んでいく、という絵づらはやっぱり感動的。あれで、もう少し東京の地形に準拠していたなら・・・とおもわずにはいられないが・・・。


 あと、ちょっと奇妙に思ったのは、クライマックスの「負けた方が町を出る」という条件。あれは東京を理解してないよなあ、とちょっと残念に思った。東京って複数の町が複合的に組み合わさって形成されている、ってことくらいは最低限理解しておいてほしかったところだなあ。(★★★)

*1:主人公の家は三田にあるのに最寄り駅は渋谷駅なのだ。爆笑。