虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「キンキー・ブーツ」

toshi202006-09-08

原題:Kinky Boots
監督:ジュリアン・ジャロルド
公式サイト:http://www.movies.co.jp/kinkyboots/


 主人公・チャーリーは靴工場の跡取り息子だったが、靴づくりに向いてないのでロンドンで婚約者と新生活を始めるはずだった。だが、父の急死して靴工場を継ぐことに。しかし例によって工場は経済的に傾いており倒産寸前。不良在庫をさばこうと奔走するも買い取ってくれるところはなく、当面のしのぎとして従業員の首切りを敢行することになった。だが、その従業員のひとりから「他の工場はいろんなニーズを探してがんばっている」と指摘された彼は思い出した。不良在庫をさばくためにロンドンに行ったとき、「靴」に困っていた「彼女」のことを。その彼女は、「男性」。ドラッグクイーンであった。


 彼は行動を開始する。誰も手をつけなかった「ニッチ」な市場を開拓するために、彼は「彼女」の望むブーツの開発を試みる。




 てなわけで、日本でもすっかりおなじみのジャンルとなった英国の「不景気だけど成功しちゃった人たち」の実話系コメディ。いやあ、この手のジャンルはハズレがないなあ。面白い。
 だけど、ちょっとクビをかしげちゃうところがないではない。婚約者がわがまま女として、やや損な役回りを演じているのだけれど、彼女のいうことにまったくの理がないわけではなかったし、彼女は彼女なりに彼を愛していたはずで、そこら辺のフォローがまったくなかったのは、やや後味が悪い気がする。終盤の盛り上げ方もいくらなんでも出来すぎだろ、ものまね大会のご本人登場みたいなタイミングじゃねえかああああ!
 ・・・など思うんだけど、ジャンルとしての定型をはみださない手堅い作りで、面白さのツボは外さない。「威厳の足りないコリン・ファース」という体のジョエル・エドガートンが「優柔不断な社長」を好演して、憎めない。キウェテル・イジョフォーも男らしい男として育てられた反動でドラッグクイーンになった「彼」をきっちりと演じ、いまひとつ社会になじめない2人の奇妙な友情を横糸に絡め、ドラマに振れ幅を持たせることに成功してる。肩の力を抜いて楽しめる快作には違いない。(★★★★)