虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「おさるのジョージ」

toshi202006-08-18

原題:Curious George
監督:マシュー・オキャラハン 脚本:ケン・カウフマン



 日本語吹き替え版で鑑賞。
 「ひとまねこざる」などの題名で知られる絵本のベストセラーのアニメ化。もともと絵本のほうはサルの視点から黄色い人間を追って、アフリカの森から大都会へとやってきて騒動を起こすさまを描いた作品なわけだけど、アニメ化にあたっては「黄色い服の人」テッドがなぜアフリカにやってきたか、という視点で物語がつむがれる。


 博物館に勤めている彼が、資金難でリストラされそうになって、口からでまかせで「秘宝を探せばいい」といって探しにいく。しかもなぜか館長所有の地図あり。あっさり目的地到着。
 その過程でおさると出会うわけだけど、目的地に着いたら見つけたものをカメラで送信。それにしてもケータイがアフリカの森の奥でつながるというのはいくらなんでもとか思ってたら、そこまで歩きで行くのに、なぜか帰りは車で帰るといういい加減さ。お前は「川口浩探検隊」か、などなどなど突っ込むのは野暮の野暮天と知りながら、ぼんやり見ていたのだけど、おさるが彼をけなげにおっかけて街まで行くあたりから、キュンとしたものを感じる。
 原作だと確か連れてこられたんじゃなかったっけ?とか思っていると、博物館では原作とはあまり関係のない大騒動の種(おさる含む)がテッドを待っていたのだった。



 子供向け、という明確な意図で描かれているため、シニカルな風味は一切なし。話自体は毒にも薬にもならないし、他愛ないといえば他愛ない。昔、原作読んでいたころの記憶がスラーっとよみがえる、リスペクトなシーンは多数あって、それらがつながっていくあたりの手管はとりあえず見事で、おさるが他愛ないいたずらを見ている間は幸せな映画ではある。
 ただ、ただそれだけだったら、傑作だったかもしらんのだけど、どうも俺は「黄色い服の人」テッドにいまひとつ感情移入できんでね。こいつの抱えた騒動って全部自業自得のように思えるし。ヒロイン*1もなんでこんなやつに惚れるかね、というくらいベタ惚れで意味わからんのだけど。


 要はドジでもアホでも世の中なんとかまわりますよ、という感じの描かれ方なのですよ。その辺もう少しどうにかならんのか、という思いで見ていたのだけれど、まあ、こういうのも「子供向け」ですからあっはっは、で済ますしかないのだろうか。同じ子供向けでも、社会からはみだした者同士が友情を育む「リロ&スティッチ」の物語が如何に強烈で面白かったかを再確認したわけですが。


 というわけで、映画としてどうこう、というより、おさるのいたずらっぷりを楽しむだけなら、楽しいアニメーションではありました。おれにはちょっと行儀のよすぎるアニメに見えてしまってそこが大きな不満かな。(★★★)


追記:ただ、スタッフロールの演出はお見事。ちょっと感動した。

*1:キャストがドリュー・バリモアなのはGJだが