虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ハチミツとクローバー」

toshi202006-07-23

監督:高田雅博 脚色:河原雅彦/高田雅博


 ふむう。これは。なかなか。いいね!!何が?


 蒼井優が<そっちかい。


 いやあ。可愛い。ぼそぼそっと喋る内気な、蒼井優がこれほど可愛いとは!わしゃあ完全にノックアウトじゃあああ!そらあ竹本君も恋に落ちるわ!うむう!一家に一体、蒼井優!この映画、合格!合格じゃあああ!



 ・・・・えー、みなさんには「人が萌えに走る瞬間を初めて見てしまった」ワケですが、いかがだったでしょうか<消え失せろ。



 というわけで、「ハチクロ」の映画化であります。


 芸大に生息する男女の人間模様をデフォルメチックに描いて大人気。少女漫画的セールスポイントは「一方通行だらけの恋」(基本的に全員片思い)なわけですが、私のようなおっさんが読んでも楽しいのは、言ってみればその変人だらけのコメディとしての瞬発力が優れていることと、そのゆるゆるとつながった友情、というまっこと温い空間をきちんと描ききってくれてるからでしょうか、
 物語の核は「決着」しないでも許される時代、という意味での「青春」。「優しさ」だけでも許された「青春」。この漫画が読んだ人に愛されるのは、キャラクターがそれぞれに突き抜けていながらも、皆、優しいからだと思う。傷つければ、傷つけたことに悩み、いつも相手を思いやってしまう。恋に決着をつかないからこそ、ありえた優しい時間がそこにあるのだと。


 この映画版をみて、「ふむう」と唸ったのは、原作を叩き台にしながらも、きちんと映画の尺に落とし込む形できちんと租借してから、あらためて物語を紡ぎ直してあること。キャラクターも漫画だから許された破天荒な設定などは徹底的にそぎ落としつつも、キャラクターの核となる部分はきちんと残し、その上で、彼らの関係をキャラクターに合わせた形で紡ぎ直す、という非常に手間のかかる行程を経て、脚色をしてるわけです。
 ここで重要なのは、この映画はけっして原作のダイジェストでも、パッチワークなどでもなくて、「もうひとつのハチクロ」であるということなのです。これぞ正しい漫画の映画化、と言える見事な落とし込み。おじさんは感動しました。


 キャラクターのデフォルメとして振るってるのは、前述の蒼井優(身長158センチ)演じるはぐ、そして真山(加瀬亮)でしょうか。きちんと18歳の人格を持った少女としてリファインされたはぐみは、蒼井優の演技も相まってほぼ完璧。そして真山は、ストーキング青年らしい病的なキャラが入っており、やや二枚目半三の寄りくらいになっている上に、それを加瀬亮が演じるともの凄い説得力を獲得していて、笑ってしまった。


 ただ、この映画の欠点は、その「全て決着しないことが許される」青春であるがゆえに、「決着させずに終わる」ことで、それは「物語には終わりがある」べき映画の宿命をから、するりと逃れてしまっていることだとも思う。そこが「ハチクロ」のいいところでもあるのだけれどもね。(★★★★)