「ヴィンランド・サガ」1巻その2
●メモ
(15日分の日記からの続き)
第3話「海の果ての果て」
・西暦1002年 アイスランド。
・「はるか西方海上……新天地は実在したのだ。どーじゃい!見直したか。このレイフ・エイリクソン様を。」
<初登場キャラ>
レイフ・エイリクソン(実在の人物。詳細に書くとネタバレになる……。)
・「なんだ子供らはまだ起きているのか?」「ごめんなさいトールズ。レイフさんのお話を聞かせてあげたくて…」
<初登場キャラ>
・トールズ(トルフィンの父。)
・ヘルガ(トルフィンの母。)
・「今年の寒波も厳しくなる。家畜も大分死ぬだろう。南からの暖かい潮流が弱まっていることとこの寒波はおそらく関係がある。」
北欧の環境の厳しさと、ヴァイキングの海賊行為、入植活動の活発さは無関係ではない。彼らは少ない土地を奪い奪われ、生きている。
<初登場キャラ>
ユルヴァ(トルフィンの姉上。)
・「ねー父上ェ。どーしてウチは奴隷を買わないのー?」
ノルウェーは東アイルランドなどを植民しており、奴隷商人が、ケルト人を奴隷として拉致している。
・「逃亡中の奴隷だよ。きっととなり村から山越えてきたんだ。やばいよ…かくまったりしたらモメ事になるよ。」
逃げてきた奴隷。彼らは「人」とはみなされない。「財産」である。ユルヴァの彼への突き放し方は当時の彼らならば当然の感覚。
・「逃げてきたんだよ。ワシらの先祖は昔はもっと東の地に住んどった。ノルウェーという土地だ。」
・「多くの者が圧政をきらい住みなれた村を去った。」
アイスランドの地に留まらず、入植を繰り返す彼らに、真の「故国」はない。
第4話「解かれ得ぬ鎖」
<初登場キャラ>
ハーフダン(となり村の有力者。)
・「鎖は 人間に似合う唯一の首かざりだ。金でも銀でもねェ。鉄の鎖だ。首に繋いだ鉄の鎖だけが人間ってやつを少しゃアましなものに変えてくれる。」
時に「法」。時に「しがらみ」。時に「社会」。人は何かにつながれる。法こそがハーフダンの絶対正義。
・「はるかな西……海の向こうにヴィンランドという名の……土地がある。そこは暖かく豊かで……奴隷商人も戦の炎も届かぬ遠い地だ。そこなら誰も追ってはこれん。どうだい。いつか俺たちと一緒にそこで暮らさないか?」
トールズ。過去に彼もまた繋がれている。鎖に繋がれた「奴隷」の男に、彼は自分を見出し、彼の夢をそっと伝える。ヴィンランドは、トールズの最後の希望。
・「ハーフダン。この男をいくらで買った。」「羊2頭。若いメスだ。」
これが…奴隷という「家畜」の値段。
・「…そいつは連れて帰る。他の奴隷が見ている前で拷問せにゃならんのでな。」「ならば4頭だ」
・「その倍と言えば?」「出そう。全て3歳以下のメスでな。」
奴隷としては使い物にならなくなった「人間」を救おうと、ハーフダンのつり上げ交渉をすべて呑むトールズ。
・「…トールズ。それでそいつの鎖を解いてやったつもりか?鎖を解いてそいつをどこへ連れていく?」
・「………フン。その沈黙も答えだ。」
トールズの過去を知っているであろう、ハーフダン。彼の心の裡を読み、その心を指す。
・「………じゃあ…ここからも逃げたい人は……どこへ行くの?」
極寒の地ゆえの厳しさ。気候も、環境も、人でさえも。縛られた人々は解放される日を夢見る。
●全体的感想
あまりにも濃厚な物語。壮大なサーガの開幕を告げる第一巻。
こうして読み解いてみると、ヴィンランド伝説は、ヴァイキングたちが置かれた状況の厳しさゆえの夢なのだと知る。そんな社会に繋がれているからこそ、彼らは「新天地」を夢見る。彼らはいつの日か「自由」を獲得出来るのか。骨太で、そしてあまりにも悲壮な「鎖」からの「逃亡劇」。
すべてを解き放つ「ここではないどこか」。それは本当にあるのか。物語ははじまったばかり。
現在、「ヴィンランド・サガ」は「週刊少年マガジン」に連載中!アンケートを出して、「ヴィンランド・サガ」を応援しよう!打ち切りだけにはさせねえ。