虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「実録オタ嫁日記」

箱庭ヒーローオンライン



 「クレヨンしんちゃん/伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃」を見た。


 話は「時空調整員」のミライマンと名乗る謎の生命体が、しんのすけの怪獣人形に寄生するところから始まる。ミライマンは時空のゆがみに現れる怪獣を3分で倒してほしい、と野原一家に依頼する。その世界では、正義の心で自分の想像した通りのヒーローに変身できる。ひろしはアメコミ的ヒーロー、みさえは一昔前の美少女系魔女っ娘、しんのすけは下品なウルトラマンって感じで、シロまで含めた野原一家全員がこの怪獣退治に参加。徐々に一家全員でこの仕事にのめり込んでいくのだが…。


 これはあれですね。ネットゲーにはまった夫婦の話ですね。違いますか。えーとですね。


 不思議とね、今回の話の主役はみさえだったんじゃないか、と思えたんですよね。
 母・みさえの、妙にリアルに描かれた生活に疲れた主婦っぷりが印象的な序盤。そして、ミライマン登場以降に延々と続く、みさえの嬉々とした変身ッぷり(3バージョンもある…)。みさえを演じるならはしみきの、クレしん映画史上かつてないノリノリ感がますます映画から浮き立ってくるんだけれども、今回のみさえ、絶対元オタだ。「コミケでコスプレやってただろあんた」的なイマジネーション。しかもセンスが一昔前、ってところが妙にリアル。


 その姿が、生活に疲れた主婦が、ネットゲージャンキーになっていく感じとミョーにシンクロしてくるんですよ。


 「ウルティマオンライン」ならぬ「ウルトラマンオンライン」ってな感じで、要はこれ、ウルトラマン一家のバーチャルなんだよね。わかりにくいけど。3分で終わるオンラインゲームをやってるような感じでしょ。そんなバーチャルに一家ではまっていくうちに、家の中が荒廃してくるところの妙な切実感。そして、ひまわりの世話すら放棄してバーチャル世界にのめり込むみさえとひろし。これって「オトナ帝国」とは似て非なる怖さ。まったく愛を感じない。見事に崩壊した家庭の空気だ。


 だからこう、親子って素晴らしいー、って感じに落とし込むことが心に迫らない。世界が救われても、所詮バーチャルだろ、という感じしかしないわけだ。
 てなわけで、オンラインゲーム、無事クリアしました良かったね、という感慨しか沸かなかったです。うーん。


 追記しておくと。
 別にこの文章でオンラインゲームを否定する意図はないです。昔、俺もやってたし。節度は必要、という当たり前の話で。あと波田陽区の登場シーンは意外と悪くなかったです。(★★)