アメリ2 Death or Love
2005年早春。アメリが最も切ない運命に立ち向かう。
あ、普通にはまった感じが。えと、正式邦題は「ロング・エンゲージメント」という映画を見てきました。主演:オドレイ・トトゥ×監督:ジャン=ピエール・ジュネという「アメリ」コンビの最新作です。
ヒロインの名前はアメリではなくマチルド。
第一次世界大戦中、戦場を抜け出すため自らの手を撃った5人のフランス兵が、死刑を宣告された。その死刑囚の中に、マチルドの婚約者・マネクがいた。婚約者が死刑になったという報に接しながら、直感と願掛けを信じて、終戦後に、ひたすら生きている彼氏を追い求めてるという、一見愛に満ちたミステリー。ですが、「オドレイ×ジュネ」コンビに掛かると、ひたすら電波ゆんゆん映画に早変わりするから不思議。
「彼は死んだ」「死んだらしい」という証言はガンガンでてきて、生きているかもしれない、という希望の糸はバチバチ切られて、それでも「それらは全部うそっぱち」と決めつけて突き進むヒロイン。脚本自体は5人の兵士のドラマが幾重にも組み込まれた複雑怪奇なミステリーなのだけれど、狂言回しであるマチルドにとって、婚約者の生死以外のドラマにはこれっぽっちも興味がないので、印象に残るのはヒロインの強引っぷりのみ、という映画。ヒロインの人の話を聞かないっぷりは徹底しており、彼が埋められたという、しかも彼の名前がばっちり入れられている墓標を見せられても、まだ動じない。「彼は生きている」、と信じ続けるわけですが…。
…怖い。ここまで来ると…怖い。
怖いのはヒロインだけじゃござんせん。戦争描写も結構えぐい。
ジュネ監督も凝り性なので、戦場の描写はここまでやるかというほど生々しく、恋愛映画だと思って見に来たカップルに度肝抜かせます。兵士の死体が爆散して内臓が飛び散ったりさせるあたり、ほとんど嫌がらせです。オープニングから延々、舞台が悪夢のような最前線の戦場なんですから、救えません。
ジュネ監督、よくやった!(えー
一言で言えば「アメリ」×「プライベート・ライアン」って感じの映画。狂気一歩手前の愛情を必要以上に体現するオドレイ・トトゥの電波女優っぷりも大復活で、「不思議ちゃん」な彼女が好きな人にはお勧め。