虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

2019年に見て「良かったな」と思った映画から10本を選んでみる。

 

 みなさま、どうも。ご無沙汰をしております。気がつけば年を越しましたでございます。
 去年ブログ更新はまったくせず、Twitterでは映画感想をガンガンかいてたりします。鑑賞量は過去最多を更新している有様。
 しかもこのブログ記事を書いているのがこの日付の翌年(2020年)の年末という体たらく。

 というわけで、自分が出会った映画の中から、「良かったな」という映画を10本選ばせてもらいました。「あれがない」「これもない」という方もいらっしゃるでしょうが、ご容赦いただいて、しばしおつきあいくださいませ。

10位「ブラインド・スポッティング」

 多くの人種が混在する街で育った二人の若者。二人は人種を越えて友情を育んできた。しかし、それでも互いの抱える「事情」や「思い」はそう簡単にはわからない。差別、格差、コンプレックス、コミュニティ。見えているものの裏に隠されたもの。向かい合う事で乗り越える。その大事さを描いている。



9位「シティーハンター 史上最香のミッション」

 見終わって度肝抜かれるとはこの事。日本で生まれた漫画/アニメ作品が、これほどの愛情と誠意とセンスによって、フランスで「まさにこれぞ!」という実写映画として生まれ変わるとは。それだけでまさに僥倖。その偉業に敬意を。





8位「スパイダーマン:スパイダーバース」

 アニメーションとしてのクオリティもさることながら、世代、国境、人種、性別、次元すら越えて、あらゆるスパイダーマンが集う物語というこの物語が素晴らしい。おれも、あなたも、スパイダーマンになれる。その可能性を無限に押し広げる、愛に満ちたメッセージに素直に感動した。



7位「国家が破産する日」

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  • 発売日: 2020/04/08
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 現実と向き合わない。国民を欺く。平気で嘘をつく。国家がそれを平気で行ったとき、国はどうなるのか。この映画はそんな韓国の「歴史的失敗」を描いた映画である。そして、それは決して我が国も他人事ではない。学ぶべきことが多い映画である。



6位「金子文子と朴烈」

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  • 発売日: 2019/09/27
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 かつて日本に、これほど魅力的な人物たちがいたことを日本映画ではなく、韓国映画に描かれてしまったこと。それ自体が敗北である。関東大震災で行われた事をも描き出しつつ、日本という国の本質を暴き出しもする。善悪に依らず「日本人からは見えなかった日本」が描かれた映画である。

5位「アラジン」

 正直ディズニーアニメの実写化には食傷気味で、実はまったく期待しておらず、大ヒット中にも後回しにしていたことを大変後悔した。ここまで心躍るミュージカル映画になっているとは。上映終了まで繰りかえし映画館に通ったほど心奪われた。何度見ても楽しい。楽しすぎる映画でした。

4位「ブレッドウィナー」

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  • 発売日: 2020/07/10
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 タリバン政権下の過酷な状況に置かれた社会を舞台にしながら、描かれるは「物語の力」を高らかに歌い上げる物語。我々には想像を絶す「現実」の中で、アニメーションによって紡がれるその物語がたどり着く結末に、ただ号泣したのでした。



3位「パラサイト 半地下の家族」

パラサイト 半地下の家族 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2020/07/22
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 この映画を見たのは2019年の年の瀬も押し迫った12月下旬の先行公開の時であり、Twitterでベストテンを発表する時点で「これは素晴らしい」とベストにねじ込んだのであるが、これを書いている2020年末において見ると、この映画のポテンシャルはこちらの想像を越えていた。見た時の感動も忘れがたいものだったが、まさに韓国映画のポテンシャルを世界に、何より日本に改めて叩きつけたポン・ジュノの才能の凄さを改めて思い知ったのでした。

2位「工作 黒金星と呼ばれた男」

 北朝鮮で暗躍した、実在の韓国工作員をモデルにしたフィクションだが、その内幕は実に驚きに満ちたスリリングさでありながら、物語はやがて駆け引きを超えた2人の男の子絆の物語へと突き進む。大国の思惑によって2つに分断された歴史、そしてその分断の最前線で生きる男たちがたどり着く、その終着点。ただ泣いた。

1位「ガリーボーイ」

ガリーボーイ [Blu-ray]

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  • 発売日: 2020/02/19
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 言葉にする事。そして、古い価値観をアップデートすること。この映画で描かれるインドで未だ根強い因習にがんじがらめにされた若者たち。抜け出したいけど抜け出せない。それでも、それを越えていきたいなら「言葉」にしていかなければならない。
 父親の横暴、貧民街から抜け出せない現実、新しい事をしても認められない鬱屈。それらへの不満をすべて吐き出す。その術がラップだった。絞り出すように紡がれた言葉は、同じ境遇の若者たちはおろか、この映画を見ている老若男女を問わず、深く響くはずだ。そう信じる。