虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ママはレスリング・クイーン」

原題:Les reines du ring
監督:ジャン=マルク・ルドニツキ




 こちらは打って変わって、女性のセカンドチャンスを描いたフランス発のコメディである。


 シングルマザーで長く刑務所に服役していたローズ(マリルー・ベリ)は、長く疎遠になって心を開こうとしない息子との距離を縮めるために、彼がプロレスにハマっていることを知って、プロレスラーになることを決意する。前科のある彼女を雇ってくれたスーパーマーケットの同僚である、ベテランで現場主任のコレット(ナタリー・パイ)、独身で男好きのジェシカ(オドレイ・フルーロ)、容姿に深いコンプレックスを持つ「精肉担当」のヴィヴィアン(コリエンヌ・マシエロ)を引き入れ、プロレスチームを結成。近所に住む元レスラーのコーチ・リシャール(アンドレ・デュソリエ)の指導の下、レスラーデビューを目指して、ド素人女性たちの七転八倒の日々が始まった。


 素人女性がいきなりプロレスラーデビュー!というアイデアとしては荒唐無稽もいいところだし、レスラーとしての身体や技術が出来上がったとしても、「ショウ」のマッチメイクが素人にそう簡単にできるわけもないので、クライマックスにおいて、わずか3ヶ月で立派にマッチメイクする彼女たちのすがたは、はっきり言えば嘘もいいところなのであるが。
 それでも、この映画がぐっとくるのは、人生の曲がり角にさしかかった4人の女性たちの人生が、仲間とのプロレス修行や、様々な葛藤の中で、再び新たな模索をする映画となっているからである。


いくつになっても人生はやり直せる。しかし、その勇気を持つのは容易ではない。だが、そのきっかけを彼女たちはプロレスデビューを目指す日々の中で掴んで行く。


 だから、紆余曲折のドラマを経て、彼女たちが様々な悩みや葛藤を越える!その高揚が一気に爆発するプロレスシーンは、ベタだけど!嘘だけど!いやベタで嘘だからこそ!より胸に迫るものがあって、私は心捕まれてしまったのである。私は好きである。大好き。(★★★☆)