虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

虚馬ダイアリー10周年

toshi202014-06-01




 10周年でございます。



 まあ、映画感想をネットで書き続けてたらもう15年ちかく経っている有様の中、特に相も変わらず書き続けてこられたのは、ひとえに読んでくださる皆様がいてこそだと思います。


 以前書いた文章から引用します。

 表現、という言葉には、二種類の人間が必要である。送り手。そして受け手である。


 昔、俺は優れた送り手になりたかった。面白い男と言われたかった。「粋で乙な男」になりたくて仕方がない、だがなれない。「タイガー&ドラゴン」の虎児のように。俺は、いつだって「面白い男」から遠ざかっていく。
 この「江戸川番外地」というサイトだって、本当はもっと誰が見ても面白いサイトにしたかった。だが、そうはいかなかった。


 俺は送り手にはなれない。いつの頃からか俺はそう考えるようになった。サイトを始めて5年しても、ゆるやかにそして深く俺は挫折していく。


 だが、このサイトを続けているうちに、送り手としての絶望に対して逆転の発想が生まれる。「虚構にこそ真実が宿る!」という感覚ゆえに。俺はいつの間にか、虚構馬鹿と名乗るようになっていたのだ。


 江戸川番外地というサイトと俺の社会人としての歩みは、ほぼ同時進行だったが、俺は社会人としての5年間、現実社会、会社内の人間関係、そして人間としてのあり方に至るまで、いつだって「虚構性」なくしてはあり得ないと実感する。ならば、逆にいえば真実は常に虚構の中にあるのではないか!ある時、そう直感する。それは日に日に確信になっていき、俺は遂に、「物語至上主義」という言葉にたどり着く。


 世に物語は尽きない。その数多ある物語の中に、数え切れない「真実」が眠っている!俺はそれをきちんと掘り起こし、それを受け止めたい。優れた作品も優れた受け手が必要だ。それもなるべくなら、映画も、小説も、漫画も、そのジャンルの垣根を超えて平等である「物語」。その「魂」そして「真実」をきちんと受け取れるような人間になりたい。「虚構の中にこそ「真実」がある!」そう信じるが故に。


 そして、「リアル」というディテールに誤魔化されない目を養っていく。それこそが、世の中の真実を知る糧となるに違いない!と。


 俺がこのサイトで書こうとしている文章は、俺が作家達から放たれた「物語」の核を探し、必死に受け止めようとした格闘の後だと思って頂きたい。俺は、「物語」をカテゴライズしたいんじゃない。査定したいんでもない。俺はどんな物語でもきちんと「魂」を受け止めたいのだ。評論家になりたいのではない。優れた観客でありたいだけなのだ。


物語至上主義宣言 - 虚馬ダイアリー


 僕がなぜこのブログで「映画批評」「映画評論」ではなく、「映画感想」という事を強調してきたかと言えば、僕はここに書かれていることを実践したかったからです。「一観客として受け手としていたい。」その初心だけは忘れずに来たつもりである。物語と向き合い続けるという事を、実践したいという思いが「ドラマ実況」をTwitterはてなハイクで行うなどの「模索」にも通じています。


 受け手として観客として、「今」を楽しみ、考え、そして書く。


 それを10年。ブログ以前に書き始めたものを含めると15年近く、僕はただ書き続けてきました。目の前の物語を、ただ楽しみ、味わい、そして考える。その営みをただ、ただ、続けてきた。仕事でくじけそうになっても、私生活で心が折れそうなときも。物語に向き合っている時間は、本当に「生きている」と感じさせてくれる。

 映画感想は僕の中にある物語の「正解」を導き出そうともがいてきた結果出てきた文章であり、読んだ人の「正解」とはまた違うとも思います。だけど、それでもいいのです。いろんな人のなかに、様々な正解があるのが、健全なことです。
 そういう意味では僕は「僕であること」を、映画感想を通じて書き続けてきたつもりで有ります。


m @ s t e r v i s i o n


 思えば、僕はずっとm@stervisionさんに憧れて映画感想を書き続けてきました。
 続けているウチに、僕は決してm@stervisionさんのようにはなれないと気づいてしまったけれど、それでも続けて来れたのはm@stervisionさんが僕のブログをリンクしてくださった時である。僕は僕の文章でいいんだ、と心から思えた。嬉しかった。


はてなアンテナ - Projectitohのアンテナ


 惜しくも亡くなってしまった伊藤計劃さんはじめ、尊敬する方、いつも読んでいるサイトの方々にも読んでもらっているということを知り、より強く「初心」に帰ることが出来た。時が移ろい、いろんな物が変わっていく中で、僕もなんとか続けてくることができました。
 いろんな人が読んでくださると知ればこそ、僕は奮い立つことが出来た。これはインターネットという世界の力であると思う。飽きっぽくて何をやっても長続きしなかった若い頃の自分。それが、この「映画感想」だけはここまで続いた。愚直にやってきた10年。まずは「上出来」と言っていいんじゃないでしょうかね!


 映画感想のタイトル数もちょっとエライ数になってしまいました。


http://members2.jcom.home.ne.jp/t20/entermemo.htmlhttp://members2.jcom.home.ne.jp/t20/entermemo3.html 


 改めて書きます。こんだけ書いてこられたのも、みなさんのおかげです。
 ありがとうございました。