虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「自虐の詩」

toshi202007-10-28

監督: 堤幸彦
原作: 業田良家
脚本: 関えり香 / 里中静流


 うーーーーーーーーーーん。


 評価が難しい。とりあえず原作知らない人は、見ればいいんじゃない?と思う。その上で、原作を読んで欲しい。


 俺は抑制利いた堤幸彦は嫌いじゃないので後半は、それなりに楽しめたんだけど、前半が・・・正直、酷い。何度も途中退出を考えるくらい、「面白くない」。堤幸彦の演出のコメディ演出の寒さもさることながら、脚色がなあああああ・・・。


 本来のあの原作の美点をことごとく殺してる気がする。設定を変えた意味が全然わかんないし、細かいギャグもことごとくすべっている。大体原作は別に「幸せ探し」の話じゃないんでね。彼女はああいう旦那と暮らしてるけど、幸せなんですよ。泣き言なんか絶対言わない書かない。例え旦那の仕打ちに泣いても、他人が旦那の悪口言えばその人間に対して怒る人でしょ。


 それを、顔も覚えていない母親に「私の幸せはどこ?」とか届かない手紙を書いてるスクリーンの向こう側にいる幸江を名乗る女は、幸江さんじゃないんですよ。嫌われ松子じゃないんだから。


 俺はこの映画に嫌われ松子を見に来たんじゃないんでね。どんな時にもめげない幸江さんあってこその「自虐の詩」だし、彼女と嫌われ松子とは似て非なる女性なんで、そこを見誤ったらあかんやろ、と思う。このレベルの作品に収まるような作品じゃないはずなのに。もったいなさすぎる。
 イサオのヤクザ時代も、なんであんな風にしたのかよくわかんないし(つーかいつパンチになったのか説明が一切ない・・・)


 熊本さんのキャスティングが技ありなんで星半個だけ追加するけど、正直傑作になるべき作品だっただけに、がっかり度は高かった。(★★☆)