虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「リトル・レッド/レシピ泥棒は誰だ!?」

toshi202007-10-07

原題:Hoodwinked
監督・脚本: コリー・エドワーズ
共同監督・脚本: トッド・エドワーズ / トニー・リーチ


 事件は、ある老婆の家で起こった。


 その世界ではレシピがものを言う。らしい。
 その森では主要産業が「お菓子作り」らしく、多くの動物たちがお菓子を作って暮らしている。だが、レシピ連続盗難事件がつぎつぎと起こり、廃業する動物たちが続出していた。赤いずきんをかぶった娘・レッドはそんな森で、おばあさん秘伝のレシピでお菓子を作り続けていた。だが、ある日、「次はお前だ」という脅迫文が!彼女はレシピを守るため、おばあさんにレシピを預けに山の頂近くのおばあさんの家に向かった。


 だがおばあさんの家につくと、狼がおばあさんに変装してレッドをだまそうとし、おばあさんは縛られてクローゼットの中に、そして木こりがオノを持って侵入してきた!まるで赤ずきんの例の場面のように。

 事件は一見シンプルに見える。だが、この騒動を聞きつけた蛙で探偵のニッキーは例の連続レシピ盗難事件と絡んでいると睨み、現場に居合わせた容疑者ひとりひとりを尋問しはじめる。すると、それぞれは個々の事情を抱えていることが判明する。犯人はいったいどの人物か!


 ・・・というミステリー仕立てなのだが、基本的に世界観が「赤ずきん」を叩き台にしながらも、かなりナンセンスな独特の世界なので、それをツッコミ出すと、キリがない映画ではある。だが、とにかくキャラクターの個々のエピソードの作り方が面白くて楽しい。

 とくに赤ずきんのばあさんはかなりキャラが立ってて爆笑。2年前の映画なので「XXX」ネタが微妙に古く見えるのはご愛敬。個人的には想像だにしない方向からのパロディで思わず悶絶でしたが。
 「シュレック」シリーズのような対象に対する悪意がないため、基本的にギャグ場面で気持ちよく笑えて、4人のエピソードがキレイにつながるあたりも好印象で、これで世界観に一本筋が通ってたら、素晴らしかったのだが、ナンセンスになんでもありなところが逆にこの映画の欠点かもしれない。


 ただ、この映画のオチは、ある意味、「シュレック」のパロディのあり方に対する返歌とも取れ、ちょっと興味深かった。


 日本語吹き替え版でみたのだけれど、キャスティングもそれぞれ絶妙で、特に蛙探偵ニッキーを演じるケンコバは芸人として無駄にいい声をフル活用してる。元々芸達者な上野樹里はともかくも、一番のネックだと思われた加藤浩次すら、適度に肩の力の抜けた妙演を見せて、まずは成功と言っていいと思う。

 シリーズ化をあまり考えてなさそうな、スパッとしたラストで、個人的には続編じゃなく、監督のエドワーズ兄弟には是非とも毎回新作で勝負してほしいな、と思う次第であります。(★★★)