虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「プロジェクトBB」

toshi202007-04-15

原題:宝貝計劃
監督:ベニー・チャン


 うーんすごい。ジャッキーはすごい。


 ジャッキーの凄さのなんたるか、というのを考えると、そらもう、老け込まないことだと思う。すげえ。すげえなあ。夢の共演ということで同時代に活躍したマイケル・ホイやユン・ピョウと共演することで、彼の偉大さがいやでも引き立つ、という。この「変わらなさ」はすごい。当社比ウン百パーセント、という勢い。
 この映画の凄さは考えてみると50の坂を超えてなお、いまだに「ジャッキー」で居続けている、ということだ。ユン・ピョウがユン・ピョウのままでいられることができなかった。地球には重力があるように、人間には老化が待っているし、それを克服するのは至難の業だ。それとジャッキーは常に戦っているのだなあ、と。


 当たり前じゃないか、と言われるかもしれない。そう当たり前だ。しかし、ジャッキーは存在自体が奇蹟であり、奇蹟が当たり前と思われる宿命を自らに課した。そのことをいやでも痛感させられる。
 内容のお気軽さとは裏腹に、今回のNGシーンを見ると、色々ハードであったことが察せられる。


 この映画は二人の「若き」泥棒が赤ん坊を育てる羽目になって四苦八苦、というコメディだが、本当にすごいのは、それが当たり前のように成立していることだ。なんの違和感もなく、「エレクション」で一躍名を馳せた演技派二枚目俳優ルイス・クーと抜群の掛け合いをしてみせる。
 ホモを装うジャッキー&クー。うんこのついたおむつをぶつけ合うジャッキー&クー。親父に勘当を言い渡されて途方に暮れるジャッキー。
 マイケル・ホイは「爺さん」泥棒を演じ、ユン・ピョウは「おっさん」警官を演じている。にもかかわらず、彼はいまだに道を外れた粗忽な「青年」の焦燥を「当たり前」に演じてる。孫がいてもおかしくない年齢の男がだ。すごい。


 無論、この物語は、最近のジャッキー作品の命題である、「次代へつなぐ」思想があふれている。
 考えてみると彼は俺が小学生のころから、すでにジャッキーだった。いつまでジャッキーでいられるだろう。我々はジャッキーの奇蹟を、当たり前のように見ていけるのだろう。
 「WHO AM I?」「香港国際警察」のベニー・チャンによるごまかしのないアクションや、ジェットコースターのスタントを、見事にやりきるジャッキーにハラハラしながら、そう思ったりするのである。(★★★★)