虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「虹の女神/Rainbow Song」

toshi202006-11-16

監督: 熊澤尚人 脚本: 桜井亜美 / 斎藤美如 / 網野酸


 日常に忙殺されていた主人公のもとに、友人であり会社の同僚でもあった佐藤あおいアメリカで事故死したと知らせが届く。主人公は思い出す。彼女との思い出。映画とフィルムと、虹の記憶を。



 上野樹里が圧倒的。日常に流されている中で、ヒロインの死を知る、という序盤の導入もなかなかリアルでいいのだが、回想の中でサバサバした性格のヒロインを演じる上野樹里がとにかく素晴らしい。
 主人公が回想序盤でいきなりストーカーやってて、ヒロインにキモがられてるにも関わらず、ヒロインがゆっくりと惚れていく過程が丁寧に描かれ・・・・ていたら、良かったのだが、正直、主人公のどこにほれたんだか、いまひとつよくわかんないまんま話が進行。映画を作る中で、なんらかのきっかけはあったのだろうが、「ここだ」というところがついぞつかめなかった。主人公がひたすら鈍感な上に、仕事はできないわ、甲斐性はないわ、抱きついた挙げ句「女を感じない」呼ばわりしたりしてかなりヒドい。で、恋人にしちゃうのが一目で電波ってわかる相田翔子なんですよ。バカか。バカなのか。どこがいいんだ、この男の。
 その答えが書いてある手紙が彼女の死後に見つかるんだけど、そこに書かれているのが、要は「甲斐性なくて鈍感ところも好き」とか身も蓋もないことが書いてあって、だから結局どこに惚れたんか、というと笑顔が好みだっただけらしい。レンズの向こう側の被写体に恋をしていたということだろうか。映画の中の無意識の「予感」の中で。


 平たく言えばダメな僕を好きでいてくれた彼女が死んじゃって哀しいよーう、という話なんだけれども、主人公が共感の外で、感情はあまり揺さぶられなかった。けれど、レンズの向こうの上野樹里の演技に引き込まれて退屈だけはしない117分。(★★★)