虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ラブ★コン」

表主人公と裏主人公

監督:石川北二



 全然関係ない話から入る。


 俺、毎週水曜欠かさず見ている番組が「トリビアの泉」と「ココリコミラクルタイプ」で、見逃さないようにその合間にやっている「ワンナイR&R」も一緒に録画して、それをまとめて見てるんだけど。
 いつだったか、惰性でみていた「ワンナイ」で小池徹平が出ていて、ゴリエと幼なじみという設定でツンデレコントをやってて、いま思えば、この映画の宣伝も兼ねていた企画だったのだけれど、この映画を見終わったあとそれを思い出して。
 でね。この映画は、それぞれ身長にコンプレックスがある高身長の女子高生と、低身長の男子高校生が、漫才のような掛け合いで物語を引っ張っていく形式なんだけれども。おれはね。思ったのです。


 映画の二人の掛け合いよりも、ゴリエ小池徹平の企画コントの掛け合いの方が面白かったなあ・・・・と。


 いや、なんていうのかな・・・頑張ってはいるんだけど、コント慣れしてない人がぶっつけ本番でコントしてるような感じで、なんとなくこう、盛り上がらないんですよ。しかも身長差がある、と言ってもたかだか10センチくらいで、引きのカメラだとあんまり違いがないように見えるんですよ。その点、ゴリと徹平くんは普通にタッパに差があって滑稽だったんで。
 かといって明らかに路線を継いでいるであろう「下妻物語」ほどパワフルでもなく、同系統フォロワーの「鳶がクルリと」ほどに壊滅的ではなく、なんとか場をつなげている印象。


 で、なんで映画見た後にゴリエを思い出したかというとですね、ヒロインの藤澤恵麻ちゃんの扱いのせいですよ。この映画の演出で彼女にカメラが寄るたびに、なんか彼女の鼻の穴を強調するようなアングルになるんですよ。大スクリーンだからただでさえ目立つのに、俺前方の席に座ってたもんだからやたら気になっちゃって。なに?これ?嫌がらせ?とか思ってたんだけど、よくよく考えて見えれば彼女が高身長であることをアングルで強調したかっただけと納得はしたのだけれど。それでも、なんでかな。彼女、可愛く撮られるというよりは、変顔ばっかり撮らされていてありゃあ?、と思ってたら


 ・・・映画を見続けていてようやくわかった。可愛い担当が男の徹平きゅんの方、ということに。愕然。


 しまった!そうか!これ、女子が徹平きゅんに萌え狂う映画だったのかあああ。はかられたっ!どおりで客が女ばっかりだと思ったあああああ<気付け。


 というわけで、まあ、竹中直人が本来やるポジションで温水洋一さんが一生懸命頑張って結局ハズしたり、ムツゴロウさんが素で出てきて、変な解説するのを薄い笑いで流したり、南海キャンディーズしずちゃんが、ヒロインの姉というポジションにも関わらず、役作りなしで登場して「しずちゃん」のまんま、という違和感で笑わせようとする志の低さに寒々しい思いもしつつ、かといって小池徹平くんに萌えるわけにもいかず、たらたら見ていたんですが・・・。
 最後の最後に大仕掛けが待っていた。



 裏番長ならぬ、裏主役の登場である。




 谷原章介、登場。


 終盤になり、谷原章介演じる副担任の先生が現れると、なんでか谷原章介のスター映画みたくなっていくのですよ。しかもインドの。


 「スーパースター・タニハラショースケ」主演のマサラ映画が始まるんである。


 そもそもオープニングからノリノリで英語でナレーションしていて、なんやけにやる気漲ってるなあ、と思っていたら、谷原章介そっくりのキャラが出てくる恋愛ゲームとか小ネタを仕込んでもらえるわ、登場するやいきなり全校の女子にモテモテ、「よろしQueen!」というサムい一発ギャグ言っても笑って許される王子様的存在で、オトナの力と魅力でヒロインにファンクラブを結成させてしまうという、超もうけ役。しかもスポーツ万能で、嫉妬してきた徹平きゅんの挑戦を受けたクライマックスのバスケの3on3(ストーリー上やる必然性ゼロ)ではほとんどいじめに近いくらい、正々堂々ボロボロにしちゃう。キレーに返り討ち。


 しかも最後は、ボロボロになった徹平きゅんにキュンンとしちゃったヒロインが勢い余って告白。理解者の目つきで思いが通じ合った二人をみつめたりと、いい人になってみたりして。かんっぜんに場をさらってます。つーか、実は俺の映画ですよ的勢いなんですが。


 つーかスタッフ、谷原章介愛しすぎだお前ら。肩入れしすぎて、二人の恋愛なんて完全にどうでもいい状況になってるのはすごすぎる。谷原章介に関する小ネタが、他の小ネタより数段クオリティ高いのは、谷原章介がすごいのか、はたまたスタッフの愛の結晶か。その映画の内容にまったく貢献しない愛と熱意はどこからくるの?教えてお願い。
 クライマックスの3on3なんて、結局最後まで谷原章介一人勝ちやないかい。小池徹平主演映画のはずなのに、亀田興起世界戦におけるランダエタくらいの勢いで、谷原章介映画ですよ!


 つーか変顔になってまで小池きゅんの可愛さを盛り上げたヒロインの努力も吹っ飛ぶ、驚愕の展開に、なんかこう谷原章介世界、という新たな世界を垣間見た感動、というよりは困惑を噛みしめるのでした。


 なんだったんだ、一体。世界って、広い。狭くていいや。俺。(★★★)