虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「リンダ リンダ リンダ」(DVDで鑑賞)

toshi202006-04-13

監督:山下敦弘


 グダグダな青春。ポツリポツリとした会話がこの映画の紡ぐ、空気である。
 ギターの怪我をきっかけにケンガになりボーカルが抜けたガールズバンド。しかし文化祭はもう目前。彼女たちは成り行きで、韓国留学生のソン(ペ・ドゥナ)を拾う、じゃなかったボーカルに起用する羽目になる。本番はあと3日!どうする!

 ・・・・という話とはいえ、目的に突っ走ろうとか、言うのではなく、文化祭までになにをせねばならぬのか、なにを成功させなきゃいけないのか、すべてが定まらぬまま、彼女たちは動き出す。たかが、体育館での余興のようなイベントのために、彼女らは常に一緒に練習しはじめる。寄り道を繰り返しながら・



 青春ってのは光る汗が尊い、というのは大人の幻想である。大人が本当に楽しいのは、仕事じゃなくて、仕事から解放されて趣味に没頭したり、酒飲んでクダ巻いたりすることのように。始まらない文化祭。授業を抜け出した校舎裏、誰もいない屋上。告白できない恋愛。夜の校舎。青春の間隙をこの映画はいとおしく描く。


 人生も青春も、寄り道こそが楽しい。この映画はそれを知っている。だから、寄り道して、遅刻して、音程っぱずれのブルーハーツを歌っても、そこにも青春はあるのだ!と言ってしまう。いいね。こういう青春の肯定の仕方。嫌いじゃない。
 つーか、終始クネクネ動いて下手くそなブルーハーツを口ずさむペ・ドゥナがたまらなく愛おしいんですが。女子高生の制服は多少無理がキテるものの、ヘッポコ属性全開でたまらん。1匹飼いたい<イヌか。


 それにしても、この高校、パウラに、サイカノに、デスノートのLまでいて、ペ・ドゥナまで装備してるんですが。それなのに、全然凄そうに見えない朴訥としたたたずまいは、さすが山下敦弘、とか思った。(★★★★)