虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ウォレスとグルミット/野菜畑は大ピンチ?」

toshi202006-03-18

原題:Wallace & Gromit:Curse of the Were-Rabbit
監督・脚本・製作: ニック・パーク 監督・脚本:スティーヴ・ボックス
公式サイト:http://www.wandg.jp/teaser/index.html


 名実ともに世界最強のクレイアニメーションシリーズ「ウォレスとグルミット」(以下「W&G」)の4作目(11年ぶり!)にして、初長編「チキンラン」を「本作のための助走」とニック・パークが公言して憚らない、アードマン・スタジオが満を持して放つ長編第2作。


 ウォレスたちが暮らす街一番の大富豪、レディ・トッティントン邸で毎年開かれる巨大野菜コンテストの季節がやってきた。街では巨大野菜を作るために、みんな野菜を「人間並み」に愛情をこめて育てていた。だが、その愛する「野菜」たちをウサギたちが食い荒らすのがみんなの悩みのタネ。そこで街一番の発明家ウォレスと忠犬グルミットは、害獣駆除隊を結成し、大人気に。ウサギを殺さないで捕らえる機械にレディ・トッティントンにも喜ばれ、有頂天のウォレス。
 だが、そんな街の「野菜」たちの平和を脅かす、「巨大ウサギ男」が出現!街中の野菜を食い荒らしていた。困惑する住民たちの要請で対策に乗り出したウォレスとグルミットだったが・・・やがて彼らは「ウサギ男」のとんでもない正体を知る羽目になる。



 いきなり断言する。傑作である。
 しかも、期待しすぎるくらい期待をふくらませた俺の予想を、遙かに凌駕する出来映え。「ペンギンに気をつけろ」と並ぶ、シリーズ最高傑作!


 本作を作るにあたって作り手たちが目指したのが「ホラー」である。ええっ「W&G」でホラー!?と思うなかれ。これが完璧なホラーなんである。
 「怪物」が人を襲う代わりに、人並みに愛される「野菜」ちゃんたちを食い荒らす設定でジャンル特有の血なまぐささをカットしつつ、演出は本格的ホラーも真っ青の見事さ。「W&G」シリーズ特有のユーモラスな色はきちんと残しつつ、根底に「怪物」になる悲哀まで織り込むストーリーに涙。
 そして、クライマックスはなんと「キングコング」である!!


 そう!この映画、ピーター・ジャクソンを向こうに回して一歩も引かない、渾身の「キングコング」リスペクト映画なんである!


 いやあ、興奮したね。シリーズ独特のギミック、「危機一髪」を彷彿とさせるアクション、怪物と人間(犬)の愛、友情、その他もろもろを盛り込んで、笑って泣かせて95分!しかも向こうの上映時間のわずか半分ですよ!ありえねええええ!無論、俺は断固こちらを支持しますよ!ええ!ええ!!作品の濃度から言えば、はっきり言ってこっちが上ですから!


 長編になって舞台もキャラクターも確実に広がったけど、それがご町内レベルというのもいいやね。しかもキモカワなウサギちゃんたち、俗物な司祭、ドジだけど愛すべき警官*1、思わず場を盛り上げちゃうオルガン奏者など、魅力的な脇キャラ群もいい味出してる。
 「ハウル」「コープスブライド」を下してのアカデミー長編アニメ賞も納得!の至高のクレイ・アニメーション映画。是非、是非劇場でご堪能ください。(★★★★★)

*1:その名前・PCマッキントッシュさん・・・っておい(笑)