「ヨコハマ買い出し紀行」完結
ふだん、この漫画を思い出すことはない。
この漫画はそういう漫画だ。
そんでも、何ヶ月かに一度。ふと、気づいたり、突然思い出したり。書店に寄ってみると新刊が置いてあって、「あ、出たんだ」と思って買ったり。で。家で落ち着いて読む。そんな感じで付き合う漫画だった。
いつまでも終わらないような、でもゆっくりと落ちてくる終わりの予感を常に抱えているような、 そんな、ちょっと未来の世界。ロボットのアルファさんは、時に世界を慈しむように見て回り、時にカフェ・アルファで黄昏れながら、お客を待っている。そんな彼女の日常が、少しづつだけど変わっていく人々と、少しづつ暮れなずんでいく世界の片隅で、変わらずに続いていく。
そんな世界に、何ヶ月かに一度、足を踏み入れ、彼女の目を通して、彼女の日常を感じていく。
だけど、子供だったタカヒロやマッキもだんだん大人になり、やがて彼女とは疎遠になっていく。世界は確実に変わり、そして、人も変わっていく中で、彼女や、ロボット友達のココネ、池に棲むなぞの生物ミサゴは、変わらずにそこにいる。そんな気がしていた。
でもアフタヌーン2006年4月号にて。完結。夜の闇が静かに降りる予感を残して。
あー。
連載開始から12年ですか。
そういや。俺この漫画読み始めたとき、確かぎりぎり10代だったもんな。
はー。
終わらなかったのが不思議といえば・・・ってのもあるか。うん。
彼女はかつて、マッキにこう言った。
「私も今はみんなといっしょにいるけど、これからも同じ時代の人って言えるかわかんないし
マッキちゃんはタカヒロと時間も体もいっしょの船に乗ってる。
私はみんなの船を岸で見ているだけかもしれない。」
それじゃアルファさん。また会う日まで。船が岸を巡るその日まで。