虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

『ハウルの動く城』を見た。

toshi202004-11-20


 宮崎駿の冒険、ここに極まれり。すげえ。こんなチャレンジブルな映画で興行記録をうち破ろうというのか。


 今年一番の映画、とは言わない。でも、やはり今年のアニメ映画部門ぶっちぎり。嫌う人は嫌えばいい。俺は大好きだ


 婆さんの心を持った少女が、呪いによって少女の心を持った婆さんとなり、やがて魂が肉体すら変貌させていく、宮崎駿がガチンコで挑んだ恋愛ファンタジー…になってしまった傑作。。
 見終わって、そう思った。


 はじめはくっきりとした像を保った世界や人物たちが、やがて像がゆらぎ始め、人物、物体、そして世界までもが、時にゆるやかに、時に激しく変貌を遂げる。肉体のアニメを作ってきた宮崎駿が、その呪縛からすら解き放ち、魂の飛翔を開始する段に至って悟る。


 「千と千尋」が千尋の「肉体の解放」の物語だとすれば、「ハウル」はソフィの魂の解放の映画なのだと。


 変身はあくまでも魔法使いのもの、という設定を途中から放り出してから、物語は理屈を越えて、伏線すら放り出しながら、別の何かになっている。その何か、とはソフィのハウルへの心の道行きだ。そこに意味を求めるようなことを宮崎駿はしていない。


 決して理屈ではあり得ない世界の移ろいを素直に感じれば、この映画はきっと見ている者と豊かに響き合うはずだ。