虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

toshi202004-10-25

 市川妙典に「恋の門」を見に行ったんですが、映画館に客がほとんどいません。ちなみに俺がみたスクリーンには客が2人しかいませんでした…。


 皆さん、不況続きの日本に台風襲来に大地震と、もはや天変地異という言葉が似つかわしい自体が頻発しておりますゆえに、娯楽を観る気分ではないのでしょうか。
 テレビみてても陰々滅々たる気分が抜けないのであります。俺はなんて恵まれた場所にいるのだろう、という気持ちを強くする今日この頃です。


 さて、「恋の門」は、芸術エリートからドロップアウトした貧乏前衛漫画芸術青年と、オタクエリートの親の影響をもろに受けた漫画家を夢見るOLが、現実からひたすら逃避しながら恋愛し漫画を書くという、ネガティブに熱い恋愛娯楽映画でした。
 ただもう、松尾スズキの感性が常人から逸脱しているせいか、一般人(非ヲタ)には理解出来ないオタクなエレメントでディテールを固めながら、王道からひたすら逸れ続けて、けもの道すら転げ落ちるような物語を描いていくので、はっきり言って、退屈はだけしないものの観た後に何の感慨も持てない珍作になっておりました。
 でも、このバカバカしいエネルギーの連続噴射は、さすがクドカンの師匠であると感心しました。豪華なゲスト出演陣も、映画オタク・アニメ(漫画)オタクも大喜びな面々が多数参加。くすぐりの小ネタも本格的で思わずニヤニヤすること請け合い。


 オタクを自負する方ならば一見の価値はありと思います。オタクの社会的抑圧から生み出された説明不能なエネルギーは、よく再現されていると思います。あれを再現できるのは『下妻物語』の中島哲也監督くらいなのでは。