虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

映画は、家に帰るまでが映画です。

toshi202006-11-30



 映画感想を続けて7年くらいになるわけですが。いまだにですね、俺、はしごというのが苦手なんです。映画の。1日に4本見る、とかいうアレです。やっても2本くらいなんですよ。そこが限界ですよ、俺。つーか、良くできるな、と。
 今年はもう既に120本くらい見てるんですけどね、はしご、というのは滅多にしない。やると感想書きたくなくなっちゃうんですよ。俺の映画作法としては、映画ってのは1日1本くらい見れば十分なんですね。


 だって、ですよ。映画って、作り手が何ヶ月、何年、って単位で作り上げるものじゃないですか。そこにかかるお金を捻出して、シナリオつくって、人集めて、機材あつめて、ロケ地決めて、スケジュール合わせて、みたいなことを延々やって。出来上がるものがたった2時間なんですよ。これはですね、すごいことだと思うんですよ。俺はいまだに映画は大概楽しいんですよ。ぶっちゃけ★2つくらいまでだったら、まず満足しちゃってるんですよ。変な話、映画はね、大概面白いんです。★数なんてぶっちゃけ目安の問題なんです。
 そんな面白いものをですよ、そんな、1日に4本も見たら心が持たないですよ。もったいなさすぎて。


 テレビドラマ、テレビアニメと、映画の違いって何か、と言ったら、同じ2時間でも濃さがね、違うんですよ。物語の。完成に至るまでのことを想像するだけで、「ありがたいものだ」みたいな感じがある。というのもですね、俺はやっぱり「新作映画がない世界」というのを想像したら、ぞっとするからなんですよね。
 俺が思うのはもう、「作ってくれてありがとう」なんですよ。昔はそれほど思わなかったですけど、年に新作映画を100本くらい見るようになるとですね、だんだん「映画がない世界」への恐れが出てくるんですね。不思議なことに。


 あとですね。俺、以前ここにちょこっと書いたんだけれど、試写会が苦手なんですよ。先行ロードショウとかは全然平気なんです。金払うから。だけど、試写会はね、金払わないじゃないですか。タダで見せてもらうわけですよ。俺、ダメなんですよね。別に金を有り余るほど持ってるわけじゃないから、安く見る努力はしますけど(笑)、金払わないと感想書けないんですよ。
 だって、作品作るための労力に少しでも報いたいじゃないですか。見る限りは。で、せめて彼らに「次回作」の足しにしてほしいわけです。「また作ってね」と。それで、ようやく「物語」と安心して向き合えるようになるんです。タダで見せてもらったら、もう、感想書く以前に「見せてくれてありがとう」っていう、感想文じゃなくて「感謝状」みたいになっちゃいそうだし。


 というわけで、俺はいまだ、映画を効率よく見ることができない燃費の悪い映画ライフを送っていますけど、不思議と後悔はないですね。たくさん映画を見ることよりも、一つの映画でどれほどのものを受け取れるか、というのが俺の価値基準の上位に来てるからかもしれません。
 2時間という「時間」のなかで受け取ったものを、家に帰るまでに噛みしめる「時間」その時間が実は俺、一番好きなんです。いい映画を見た後の、家に帰るまでの時間は至福ですよ。だから俺は映画館に通い続けているんだと思う。Winnyなんかで映画を見てる人間には一生分からない時間ですよ、これは。


 ただで映画を見るなんて、映画をはしごするなんてもったいないですよ。俺にとって映画は、家に帰るまでが映画です。