「宮崎駿全書」(叶精二 フィルムアート社)
遅まきながら買わせていただいた。
うーん。素晴らしい。まさに力作。その作業量には目眩がしそうになる。
おおざっぱに語られやすい宮崎駿を体系的に、かつ膨大な製作過程・作品の源泉・技術的達成などのデータ・批評・作品から派生した社会的影響などをきちんと網羅しつつ整理し、微に入り細に入りつつも、長期的な視座に立った解説を交えた文章も大変すばらしい。
宮崎駿本を読みあさっても、決定的に満足のいくものになかなか出会えなかったのであるが、これはすばらしい。「宮崎アニメは存在しない」という前書きは、宮崎駿ファンを名乗るなら百遍読み返すべき名文。この前書きで叶氏は、「宮崎アニメ」という呪縛を解き放ちたい、と言っている。それが如何に大変なことか。
四半世紀に渡り、宮崎駿を追い続けてきた氏の、集大成ともいえるだろう。
宮崎駿を語るなら、この本を無くして語ってはならぬ!とあえて言い切ってしまいたくなる良書。必携!!