虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ディック&ジェーン/復讐は最高!」

toshi202006-01-08

監督:ディーン・パリゾット
原題:Fun With Dick and Jane


 昇進した途端、会社は倒産!リストラ!
 こうなりゃ金を持ち逃げした社長に復讐だ!


 というわけで、正月1発目としてはやはり小市民コメディーっぽい作品がええかな、と監督が「ギャラクシー・クエスト」の人である期待値も込みでチョイスしてみたはいいが・・・ダメだ。全然ノレず。


 いや、眼目としては俺の期待したものを、送り手も出そうとしているとは思うのだが、この夫婦が全然共感できん。だって、経済観念が庶民と違うんだもん。この夫婦の住んでる元の家が、周りがエリートばっかの田園調布みたいなとこで、重役に昇進するからって家にプール作り始めて共働きの奥さんに仕事辞めさせて、有頂天になってたらいきなりはしご外されて、みたいな出だしで。


 言うよ。「ざまあみろ。」


 貯金は株券で、紙くず同然。電気も止められ、地価も暴落。それでもしおらしく、家を売り払ってトレーラー暮らしでも始めるかと思いきや、出世の味を忘れられず、家も手放せず、ってんで高望みしすぎて就職もおぼつかず、ようやく人並みの仕事についてもプライドお高くて続かず。当然、あっという間に破産寸前。


 言うよ。「自業自得やん。」


 で、家は、いよいよ差し押さえ。で、家を守るために、何を始めるかと思いや、他人の家から芝をかっぱらったり、強盗したりの犯罪行為なわけですよ。えー。


 言うよ。「バカか。死ね。」


 なんかね。彼らの没落って、きっかけは倒産なんだけど、彼らにも多分に問題ある。身の丈合わせようとせず、そのままの生活を維持しようとしたら、そらあっという間に破綻するわな。そんな描写がわざとなのか、そうじゃないのか、今ひとつ判断できぬまま、話は進んでしまう。
 で、最後には一発逆転の策を考えるわけですが、その方法が、社長が持ち逃げした金を自分たちのものにしちゃおう、という実に浅ましい考えで。ちょっとね。うんざり。悪役の社長が勝ち誇りながらディックに向かって小切手「100ドル」を切って、「これがお前の値段だ」という捨て台詞のほうが気持ちよかったですよ。「社長!よく言った!」と思った。


 思えば、坂を転がり落ちるように堕ちていく序盤の方が、サディスティックに笑えて良かった、という、歪んだ楽しみ方になってしまうのが、正月1本目としては不本意なコメディでした。・・・もしかして、そんな迷惑夫婦を嗤うコメディなのか?違うよなあ。(★★)