虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ティム・バートンのコープスブライド」

toshi202005-10-30

原題:Corpse Bride
監督:ティム・バートン/マイク・ジョンソン


 ティム・バートンストップモーションアニメ最新作・・・なんですがね。見終わったあと、ちと変な感慨に浸ってしまいまして。


 あー、そーいう話なのね、という。一口に感想申し上げますと・・・


 驚くほどラブコメ


 バカみたいに言えば、そういう作品。マジで。びっくりするくらい。
 世間知らずで萌え萌えな婚約者と、主人公のドジのせいで結婚したと思い込んだ死せる押し掛け花嫁。どちらもぼくに首ったけ。困っちゃったなもーう、って感じの話。主人公は気弱でドジだけど、端正な容姿とピアノがうまいのをいいことに女の子(二人しかいないけど)にはモテモテときたもんだ。
 おかげで、ぜんぜん主人公に共感できなかったけど(オイ)。
 気弱な主人公をめぐる二人のヒロインの、誤解と嫉妬のトライアングル・ラブ・・・ってマジて高橋留美子なんだが。しかも「許嫁(婚約者)」『許嫁を狙うライバル」「勘違いした押し掛け女房」「そいつらから逃走する主人公」「酒盛りしては恋愛に首を突っ込む(黄泉の)住人」とか気持ち悪いくらいキーワードが符号してる。しかも死せる花嫁エミリーたんはビクターを「ダーリン、ダーリン」と連呼するもんだから、ますまするーみっくな気分になっちゃうという・・・。


 まあ、冗談はこのくらいにしといて、実際いい話でしたね。いささか全体的な世界観がこじんまりとまとまりすぎた感はあるのだが、ジョニー・デップに声をあてさせたことで、イケメンモードのデップを妄想しながら主人公を見ると、ファンはもうビクターを想う、死せるエミリーたんの切ない思いに泣けてしまう、という趣向になってて、なかなか、うまいことやってるな、と思ってしまった。
 現実に絡めとられて生気をなくした生者の世界と、現実から解放されて活気に満ちた死者の世界、という、ひねくれた世界観もすばらしいけど、ここ最近のバートンに感じる、大人の余裕を感じさせる作品になってると思う。特に、死者が生者の世界を行進する時に、生前の知り合いの生者と出会って思わず抱擁する死者たち、という場面は、なんか普通にほのぼのと見てしまったし。こういう目配せをしつつ、己の色も存分に出せるあたりが、今のバートンの成熟なのかもしれない。


 ラブリーでほのぼの、隠し味の毒気が絶妙な小品。(★★★)


追記:関係ないけど、スクラップたん(骨犬)を見てたら、最近亡くしたうちの犬を思い出した。泣けた。


公式ページ:http://wwws.warnerbros.co.jp/corpsebride/