虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

萌えてはいけない。

toshi202005-04-25



甘い人生」を見てきた。



イ・ビョンホン主演作なので見るつもりなかったんだけど(え、予告編が死ぬほどかっこいいんだもんなー。「もし再び-----あの瞬間がやって来たら、同じ選択をするだろうか」ってキャプションが格好良すぎる。痺れるー!ビョン様ー!キャー!(わざとらしい)


というわけで、韓国の原田泰造ことビョンさんが演じる極限のラブストーリー…っぽい予告編ですが、全然違う。要は小さな歯車の噛み違いが男の人生を狂わせていく、フィルムノワールです。
主人公は人を愛したことをない、クールなホテル支配人兼ヤクザ(ビョンさん)。彼は組長から一人の小娘(シン・ミナ。「火山高」の剣道娘。)を監視するように言われる。彼女は組長の年端もいかない恋人。堅気のチェリストというおよそヤクザとは縁のない娘だが、組長は彼女にすっかり萌え狂っていて束縛したがり、他に男がいたら、自分に知らせるようにビョンさんに言う。そして、彼女には、別の若い恋人がいたのだった。
どんな仕事も冷徹にこなす男はその娘にも決してなびくことはなかったが、ある一瞬、彼の心が揺れる瞬間があった。揺れた心に映る甘い幻想。彼はその迷い故に、たった一度組長の言いつけに背く。
長年忠実な男のたった一度の背信故に起こる、組長の疑念の連鎖。そしてビョンさんの順調だった人生は瓦解していく。組長の手から辛くも逃げ延びたビョンさんは、後戻りができない復讐への道をひた走る。


はっきり言って、前半のクールさが嘘のようなハードな展開の連続に、身震いするほどに興奮。ありがちっちゃありがちな話なのに、堂に入った演出と緊密なテンションで、ぐいぐい引っ張る。あまりにも小さなほころびから人生が崩れていく切なさ。ビョンさんが必殺(らしい)の「きらーすまいる」を封印し(一部スマイルあるけど)、とにかくシリアスに演じきった王道ノワールの秀作でありました。(★★★★)