虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

タイガー&ドラゴン#1 「芝浜」の回


公式サイト http://www.tbs.co.jp/TandD/


『タイガー&ドラゴン「三枚起請の回」』DVD 好評発売中。



●原典:「芝浜」あらすじ

 あるところに有能な魚屋さんがおりました。彼が魚河岸で選んでくる魚は新鮮で評判良かったのですが、あいにく彼は、なるべくなら働きたくない人でした。そんな彼が、浜辺を歩いていると、財布を拾います。中には42両もの大金が。家に飛んで帰って、奥さんに報告し、ほっとしたのとお金があるという安心感から、お酒を飲んで寝てしまいます。

 翌朝目がさめると、奥さんがいつものように「働きに行け」と言います。なにいってんだい、昨日、42両のお金を拾ったじゃないか。あれがあればしばらく寝て暮らせると男が言うと、奥さんはあきれた顔をして、

「寝ぼけたことを言ってんじゃないよ。情けないねぇ。いくら貧乏だからって、そんな夢を見るなんて。お前さん、しっかりしとくれよ。あたしは、貧乏が嫌だって言うんじゃない。そりゃ、お金があるにこしたことないけど、あんたがちゃんと働いて、それで稼いできたお金があれば十分だと思っている。なにしろ、あんたの目利きは確かだからね。ちょっとその気になれば、2人が生活するぐらいの稼ぎはなんでもないんだろ。それとも、腕はさびついたのかい」

 などと言われて、男は心を入れ替え、大好きな酒も断ち、仕事に精を出すようになります。そうすると、元々腕はいいわけですから、3年も経つと、小さいながらも表通りに店を構えるようになり、若い者の2、3人も使うまでになります。

 その3年目の大晦日


(参照:まさやのホームページさん「古典落語ネタ帳」より抜粋)


●全体的雑感。
 スペシャルドラマだった「三枚起請」の回から2ヶ月後の話。スペシャルドラマほどのじっくり練り上げた感じはないが、全体的にシリーズを始める為の勢いを重視した趣。脚本書いているクドカンが、世界観を手探りしながら、ゆっくり人間関係を作っている感じ。作って壊すのが芸風の人なので、今回の古典落語と連動するコンセプトとずれないかが心配だが、とりあえずは人情あり、笑いありの内容になってて第1回としては及第点ではなかろうか。
 だけど伊東美咲演じるメグミの扱いについては、苦労しそうだなあ。その魔性の無敵ぶりだと、今はいいけどいずれキャラバランスが崩れかねない気がする。改善の余地はありそう。


●主要キャラメモ


山崎虎児(長瀬智也)<芸名:林屋亭小虎。昼は落語家・林家亭どん兵衛の弟子、夜はやくざ。>
…基本的に狂言回しを受け持つ、タイガー&ドラゴンの虎の方。ヤクザとして借金を取り立てに行った際、どん兵衛の落語に魅せられ弟子入り。ヤクザを廃業したいが、借金を取り立てなくてはならない。一話20万で肩代わりという約束で、噺を覚えていく。
 スペシャルでは兄弟子にあたる林家亭どん吉(春風亭昇太)が担当していたドラマの枕部分も、ドラマシリーズになって虎児が担当するようになり、落語家らしくなってきた…かと思いきや、とにかく熱意に才能が追いつかず、噺を覚えられない。今回は借金つながりで、借金まみれ夫婦の人情噺である「芝浜」を勧められ覚えるのに必死だが、七転八倒する日々。基本的に落語とやくざの二足のわらじに手一杯なのだが、頼りにされやすい兄貴体質が災いし、騒動に次々巻き込まれる。


谷中竜二(岡田准一)<林家亭どん兵衛の次男で元落語家。現在服飾デザイナー兼裏原宿の服飾店「ドラゴンソーダ」を経営。>
…基本的に虎児を騒動に巻き込む、タイガー&ドラゴンの竜の方。どん兵衛の次男として、落語の才能を見出され本人も乗り気だったのだが、いろいろあって落語家を引退し、服飾デザイナーに。だが、そっちの才能はからっきしで、親に借金して始めた店も左前。つーか、どん兵衛の借金自体がこいつの開店資金なので、このドラマの全ての始まり、つーか元凶である。
 今回、給金なしでも働いてくれる唯一の店員、リサを切れさせて店を出ていかれてしまい大弱り。虎児や実家につい頼ってしまう、若旦那気質は、テレビシリーズになっても治ってはいない。

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リサ(蒼井優)<「ドラゴンソーダ」店員>
…今回の騒動の主役。惚れやすいけど男見る目がない。給料なしでも「ブス」とか竜二になじられても耐えることの出来る、今時珍しい、けなげで鷹揚な娘だが、彼氏(大抵DQN男)とつきあい始めると情緒不安定になる。そしてついに、竜二の余計な一言に「爆発」して、店を出てしまう。


銀次郎(塚本高史)<組長の息子で、虎児の舎弟>
…今回大学に通ってることと、竜二と幼なじみであることも判明した組長の息子。メグミに惚れてはとバスツアーに通い詰め、入れ込んで例の入れ墨*1を入れてしまったりする。落とした財布が縁で、酔っぱらったリサと出会い、一目惚れされる。


林屋亭どん兵衛西田敏行)<落語家。虎児の師匠であり債務者。本名:谷中正吉>
…借金を返すために虎児に落語を教える落語家。12歳のある事件以来笑いを忘れていた虎児に、笑いを取り戻させたほどの技量を誇るが、なんだかんだと次男に甘く、その借金を肩代わり。テレビが苦手で主に高座で活動しているため、主な稼ぎは長男が支えているが、その芸風を嫌っているという難儀な性格でもある。


林屋亭どん太(阿部サダヲ)<落語家。どん兵衛の長男。本名:谷中竜平>
…才能はないが、ハイテンションな芸風で、テレビで芸人として活躍する。才能のなさを派手な一発ギャグで誤魔化すため、師匠であるどん兵衛や一部の弟弟子からは嫌われている。だが、放蕩する弟や、その弟に甘くテレビ嫌いな親父に代わり家庭や妻子を支えるために、才能ないと分かっていながら林屋亭一門に残り、慣れない芸人稼業で稼ぎ続けているのである。実は、一番の苦労人であろう。


メグミ(伊東美咲)<元・農家の嫁で、東京に出稼ぎ?に来る女性>
スペシャルで、6人の男を手玉に取った、「三枚起請」な騒動の元凶。その魔性っぷりは健在で、次々と男を落としていく。その毒牙はついに虎児にまで…ってええっ!フェロモンの無敵ぶりはともかく、その見境のなさはちょっと怖い。


林屋亭どん吉(春風亭昇太)<どん兵衛の弟子>
スペシャルでは冒頭の枕を担当した林家亭の一番弟子。今回目立った活躍はなかったが、毎回出ることの出来ない高座にこだわるゆえに、バイト生活をしていると吐露している。

*1:Mの入れ墨。スペシャル「三枚起請」の回参照。