「貞淑」?なにそれ?食い物?
バリバリのキャリアウーマンが貞淑な妻に変身?ていしゅくってなに?日本語?
というわけで、「ステップフォード・ワイフ」を見てきました。
これの元になった原作「ステップフォードの妻たち」は「ウーマン・リブ」運動が活発だった当時の世相を反映したスリラーだったようですが、今の時代は「貞淑」という言葉自体が死にかけた言葉でありますので、すっかり当時の「理想的な保守的文化」が「ギャグのネタ」にされてます。
ちょうどドラマ「トリック」における村社会みたいな扱いだと申せば分かってもらえるかと思います。
なにせ女に混じってゲイ・カップルがでてきて、ブランド物とヴィゴ・モーテンセンが大好きなゲイ(女役)が「ステップフォード」化(貞淑化)すると共和党の某知事みたいな格好になるんですもん。おいおい。
この映画の感想でよく目にする一文に「ステップフォードって男達の理想像」でしょ、とかいう人もいるのですが、馬鹿言ってんじゃありません。男だってそこまでロマンチストじゃねっつの。ここに出てくる男どもは女々しくて俺は嫌いです。権威に寄っかかるだけの情けない男はいかんよ。
あくまでも現代劇というよりはファンタジーとしての「恵まれた郊外」を戯画化しているわけで、今時こんなところがあるわきゃないことくらい、アメリカに住んでる人ほど身に染みているんだろうし、映画もそんなものを望むのは「きちがい」しかいねーんだ、と笑い飛ばしてます。
でも、いまさらそんな話されても、「まあ、怖いわねえ」という他人事のような感想しか出てこないんですけど。この映画の最大の楽しみは、ニコール・キッドマンがすこぶる美しいことで、彼女のコメディエンヌとしての才能もかいま見ることができますので、ファンは必見と言えましょう。あの(破綻だらけの)オチだって、キッドマンが主演してることでぎりぎりセーフな感じになってるわけで…。