虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

今週のプラネテス-ΠΛΑΝΗΤΕΣ- PHASE.7「地球外少女」

http://www.planet-es.net/
http://www3.nhk.or.jp/anime/planetes/


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●あらすじ(公式ページより)

怪我をした足の治療に月の病院にいるハチマキは、一人の少女と出会う。彼女の名前は「ノノ」。すっかり意気投合する二人に、見舞いに来たタナベは少し不満気。そんな中、ハチマキはある事件をきっかけにノノの事情を知ることになる。。


●メモ

・原作エピソード

プラネテス(1) (モーニング KC)プラネテス (1)」PHASE.2「地球外少女」より。


ハチマキ、前回から入院中。


「俺たち人間は宇宙空間で一生を過ごすようには出来ていない。」
「結局のところ、俺たちは地球から離れては生きていけない。それが現在(いま)の現実だ。」

冒頭のハチマキのナレーション。今回のテーマ。


「なんだよ、みんな揃って」「なんだよ、って…」「見舞いに来ちゃいけないのか。」

あんまりな言いざまだが、少女を見てにやけてた照れ隠し、なんだろう。あまり下品な笑い方させてないので分かりにくいが。


病室を転々とさせられているハチマキの同室になったのが…


「キャリア二十数年の一等航宙士よ。小惑星帯を初めて有人探査したヒーローの一人。」


<初登場キャラ>
ハリー・ローランド(ハチマキより一世代前の英雄の一人。キャリア二十数年。だが…)設定資料


火星と木星の間の小惑星帯(アステロイドベルト)
http://spaceinfo.jaxa.jp/note/taiyo/j/tai9907_astr_j.htm

木星計画が進行中のこの時代。「小惑星帯有人探査」はその前哨となる計画だったと思われる。



「読む?『コスモノーツ』今週号。地球環境特集、やってるよ…。それじゃ…。」

地球を見上げてカメラを向けていた女性に、ハチマキいきなりナンパである(親切にしてるだけのように見えるが、元々見知らぬ人にそんなことする男ではない)。ただ、キッカケ作りとしてはいまいちだと思ったのか、去るハチマキ。だが…。


<初登場キャラ>
ノノ(ファーストネームのみ。12年、月の病院に居る少女)設定資料


「君はここに来てどれくらいなの?俺とそんなに変わりない…」「12年」「じゅ…じゅうにねん!?」

キッカケ作り成功。だが、病院に「12年」居る、と言われて軽くビビるハチマキ。



「普通本格的な治療は地球でやるもんだろうに…。12年か。オレにゃ耐えられないな。いや、耐えられる人間なんているのか?」

地球から離れては生きていけない「人間」にとっての12年。それは途方もない時間。



「女の子がオトコの見舞いに行く理由なんてひとつしかないと思いますけど。」

相変わらず、ドライで鋭い観察をするリュシー嬢。女性が「女の子」で、男性を「オトコ」と呼称するあたりが、彼女の恋愛観を象徴している気がしないでもない。



「お見舞い。リンゴです。」「月の大地で育てたんですって。」

品種改良なしで月で育てたリンゴ登場。これを見て複雑な表情を見せるローランド氏はこう言う。


「いいか、若いの。よく聞け。スプートニクから百余年。宇宙は俺たち宇宙飛行士が育ててきた世界だ。死に場所もここ以外ないぞ。」

いびつに育った月のリンゴ。これは何を象徴しているのか。そして会話の流れとしては不自然なローランド氏のこの台詞がなぜ発せられたか。答えは後に出る。



「見てみたいなあ、ハチマキの海!」

こんなこと言われたら、そりゃドキっとするわなあ。ハチマキの内心は


「え!(うそ!?脈あり!?)


であろう。でも他意はない。ただ、「クジュークリの海が見たい」ってだけの意味。その落差が可笑しい。
ちなみにこの台詞は原作にはないアニメオリジナル。なかなか思わせぶりであるが、これはクライマックスシーン「私の海」の対比にもなっている。



「ね、一緒にやらない。3人の方が面白いんだ、これ。2人だとなかなか終わらないの。ダウトって知ってる?」「あの…わたし、これから約束があるから。」「そっか、ざんねーん。」

「ダウト」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%88


楽しげに一緒にゲームに興じるハチマキとノノを見て、初めて自分の中にある感情を知るタナベ。いわゆるフラグ立ち。リュシー嬢、ビンゴ。
しかし、実際、ノノと遊んでいるハチマキは今までのつっけんどんな態度が嘘のようにご機嫌で、タナベに礼を言うほど。つまり、女の子と楽しくやれてまんざらでもない、ってことである。



「そっとしておいてくれんか。もう潮時なんだよ。…白血病なんだ。」

アニメ版において難があるとすれば、死ぬ病気を苦にしてローランドさんが自殺しているように聞こえること。
原作では「宇宙白血病」。
死ぬ病気ではないが、貧血症状が伴うので宇宙を離れざるを得ない病。

「俺を勝手に引退させるな。」

この原作には入ってない台詞でそれが示唆されているが、ちょっと弱いか。



「大人の人、って、君だって大人じゃないか」「?…あそっか。12歳だよあたし。」「あーそうなんだ…


12歳!?

原作よりギャグ性が増した彼女の年齢バレシーン。でもアニメだと魅惑のこおろぎさとみボイスでバレバレだけど。こんな声した大人はいません。



「月面人(ルナリアン)なの。月生まれの月育ち。世界に4人しかいないんだって。言わなかったっけ?」
「『コスモノーツ』で読んだな。ルナリアンには生まれつき低重力障害がある。だから見た目は大きくなるけど、骨や筋肉、心肺機能は全然ついていけない。地球の重力に耐えられない身体。」


彼女はこの世界における「新人類」。故に問題も多く抱えている。それが彼女の「宿命」。




「地球がどんなにいいところでもただ暮らしてるだけじゃイミないもん。最初に地球に行く時は海で泳ぐって決めているの

(中略)

それから地球は暮らしたい所じゃないよ。行ったことないから行ってみたいところ。私が暮らすのは、ここ

この台詞を笑顔でさらっと彼女は言う。だが、この結論と覚悟に行く着くまでの彼女の葛藤を思うとき、それは尋常ではない痛みがある。生まれてからの12年。彼女は月の、しかも病院にずっと留まっているのである。同年代の友達もなく、病院の患者としか友達が出来ない。両親とも暮らせない。


彼女は生まれながらにして、人類には無慈悲な月に囚われ続けている。そして月を離れては生きていけない。彼女はそんな運命を、受け入れているのである。


俺はこの台詞でいつも胸が締め付けられそうになる。