虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ミスターGO!」字幕版を大阪まで見に行ってきた。

toshi202014-11-16




 ある日曜日の早朝。僕はそっと東京・江戸川の自宅を出た。目的は映画を見に。ちょっと大阪・心斎橋まで。


 大阪では駐大阪韓国文化院が主催して、日韓友好の為のイベント「KOREAN MONTH」を11月に行っている。その一環で「K-CINEMA WEEK」という新作韓国映画を特集上映する企画が、大阪ナレッジシアターとシネマート心斎橋で行われている。それが目的で私は大阪まで出向いたのである。

 


 私がなんでそんなイベントのために大阪にやってきたか。

 目的は「ミスターGO!」の字幕版を見るためである。


 なぜならば、東京ではついぞ、字幕版が公開されないまま上映が終了してしまったからである。


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 以前語ったように、僕は「ミスターGO!」という映画が大好きだ。溺愛している、と言っていい。劇場では短い上映期間の間に4回ほど見たし、香港盤Blu-rayも輸入DVD店で購入し、原語版を繰り返し見ている。もちろん、来年1月初めに発売される日本盤Blu-rayもすでにアマゾンで予約してある。
 だが、僕はまだ、「日本語字幕版」の「ミスターGO!」を見たことがなかった。なぜならば、「日本語吹き替え版」だけしか公開されなかったからだ。だから日本の劇場で「ミスターGO!」字幕版が見られる数少ない機会ということで大阪までやってきたのだった。


 見知らぬ街で1人、見知らぬ方々と見る「ミスターGO!」字幕版。もともと試写会などでは字幕版もかかっていたそうなのだが、配給会社の判断なのか、結局字幕版上映の機会はないままお蔵入りされていたものが、今、僕の目の前にある。その感動で始まってすぐ泣きそうになるのをぐっとこらえて、何度も繰り返し見た映画を見ている。


 滑稽な話である。


 そして、見終わって思う。やはり「ミスターGO!」は傑作である。ゴリラが野球でホームランを打つ。こんなワンアイデアを映画にするために、これほどまでに技術力と演出力の粋を結集し、神経の行き届いた作り込みで、中国・韓国・日本を巻き込んだ大騒動を描き出すこの映画の本気は、まさしく「愛」がなければ作れない、奇跡だ。
 コメディとしての地力、ゴリラのアクションの多彩さ、リアルさ、質感、スポーツシーンの迫力、スポーツビジネスものとしての駆け引きの面白さ。どれをとっても一級品の超弩級大作である。原語版は三カ国の言葉が入り乱れ、ミスターGOをどう「プロの選手」として高値をつけるか、という駆け引きを描いてみせる脚本も白眉だ。
 韓国野球界、日本野球界の要人達の思惑、悪役だと思われたライバルゴリラやサーカス団借金取りの哀感溢れる友情、そして少女のために故障を抱えながら立ち上がるリンリンことミスターGOの姿に涙する。


 そんな映画の魅力が日本語吹き替え版だと半減してしまうのは、吹き替え版だと「日本語」のみでドラマが進行してしまうためだ。しかし、原語版は中国の女の子がサーカス団の借金を返すためにわざわざ韓国語を覚えて単身ゴリラとともに韓国野球界に殴り込む勇気、読売ジャイアンツ中日ドラゴンズのオーナーが日本語しかしゃべれないことで、韓国のスポーツエージェントであるソン・チュンソとの言葉の駆け引きや本音に幅が出ていること、それがコメディとしての笑いにもつながっているわけである。
 字幕版はその魅力を、吹き替え版よりも深く、十全に感じることが出来るわけである。やはり字幕版の「ミスターGO!」こそ至高である。



 しかし。


 ここまでして「日本語字幕版」を見た私は、帰りの新幹線の中で「Walk of Life」をリピート再生しながら、またむくむくと新たなる希望がわき出てくる。それは「この映画の「3D字幕版」がみたい!!!」である。
 この映画の演出は実は「3D映画」に特化した演出が為されている。スタジアムの試合シーンや、ミスターGOがヘリに追いかけられながらスタジアム中を逃げ回るシーン、ゴリラとゴリラがぶつかり合う想像を越えたクライマックスなど、3Dで見るための画づくりが為されているのである。こんな映画を2Dでしか上映しないなんて!はっきり言って、もったいなさすぎるのである。


 配球会社であるギャガ様におかれましては、是非一度、3D日本語字幕版の上映をしていただけますよう、切に願います。

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