虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

男の魂に火をつけろ!のアニメベストテンに参加します。


2014-10-31


ワッシュさんのアニメ映画ベストテンに参加します。
以前の企画でランキングに入れたアニメーション作品は外して選んでみました。


【以前の投票とその中で選んだ作品(注:今回の投票ではございません)】


ゼロ年代ベストテン+破壊屋ゼロ年代ベスト10投票


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続編映画ベストテン


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スポーツ映画ベストテン


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ホラー映画ベストテン


SF映画ベストテン






では、ここからがアニメ映画ベスト10投票です。




1位「劇場版 赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道」(高畑勲

 絵がきれいとか、作画がリアルだとか、動画がぬるぬる動くとか。そういうことがアニメーション映画の神髄ではないんだ。演出なんだ。ということを我々に突きつける高畑勲渾身のアニメート。リアルアニメーションの神髄を究めた天才監督がいつの頃からか、水彩画や4コマのアニメーションやらに腐心しつづけているのは何故か、といえば、一見映画に見えぬものをどこまで演出で「映画」たり得る作品を作れるかという、あくなき挑戦をしているからに他ならない。アン・シャーリーというある種特異な人格の少女をここまで魅力的に描き出し、そして彼女の見る妄想を直接我々の脳に焼きつけるがごとき演出力はまさに至福。元はテレビアニメ、スクリーンはスタンダードサイズ、音声はモノラル。しかし「赤毛のアン」がテレビアニメという枠を飛び出した時、映画館で見ている私は凡百の映画よりも遙かに深くこの映画に没頭していた。元がテレビアニメとか関係ない。これが、アニメ映画だ!と私は思う。


2位「ベルヴィル・ランデブー」(シルヴァン・ショメ

ベルヴィル・ランデブー [DVD]

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 シルヴァン・ショメというアニメーション監督が現れた衝撃は未だ忘れられるものではなく、アニメーションという文化のありようの新たなる地平を切り開く圧倒的個性はまさに天才だ。なにより、圧倒的に楽しい。唯一無二の傑作を初長編でいきなり放ってしまったのは恐れ入った。


3位「魔女の宅急便」(宮崎駿

魔女の宅急便 [Blu-ray]

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 宮崎駿の代表作として挙げられるの4番手5番手以降に回されてしまうことが多い存在ながら、実は映画作品としての完成度は宮崎監督作品の中でも屈指ではないか、と最近思うようになっている。かつて宮崎駿の代名詞は「飛行シーン」であったわけだが、常に「飛ぶ」ことを「当たり前」とする少女の、「飛行」演出パターンの多さは彼のフィルモグラフィーの中でも群を抜いている。それでいて決して物語の邪魔をしない。「飛ぶ」ことが当たり前だからこそ、「飛んでいない」時の少女のドラマの描き方は実に丁寧で、高畑勲が音楽演出を務めたことで、演出と音楽の噛み合い方も一頭地を抜いている。ヒロインに距離を取り過ぎず、近づきすぎもせず。適切な距離で少女が一度失った「飛行」を再び取り戻すまでの道行きを個性的な登場人物を原作から借りながら、描ききった傑作であると思う。


4位「ウォレスとグルミット/ペンギンに気をつけろ」(ニック・パーク)

ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ! [DVD]

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 クレイアニメーションの常識を根底から覆した天才・ニック・パーク監督の傑作シリーズの中でも、やはり圧倒的に面白いのは本作だと思う。ミステリー、友情、裏切り、そして逆転。クライマックスの伝説的チェースシーンも素晴らしい。一コマ一コマ少しずつ人形を動かしながら撮るクレイアニメーションでこの密度。圧倒的と言わざるを得ない。


5位「映画クレヨンしんちゃん/電撃!ブタのヒヅメ大作戦」(原恵一

 「映画クレヨンしんちゃん」シリーズを見て初めて衝撃を受けたのは「オトナ帝国」でも「戦国大合戦」でもなく、本作だった。当時、それほどクレしん映画が映画ファンに浸透していない時に、快楽亭ブラック師匠がやたら推してたんで見たんだと思ったんだけど、この作品は確かに「子供向けアニメーション侮りがたし!!」という気持ちをドン!と植え付けられた。それ以来、おれは「クレヨンしんちゃん」を映画館で追いかけようと決めたことを思い出した。


6位「ゲーリーじいさんのチェス」(ヤン・ピンカバ)

 ピクサーというアニメーションスタジオの作品で初めて心奪われたのは「トイ・ストーリー」だが、実を言うとCGアニメーションが「映画」になる!という核心を初めて感じたのは、ひとり孤独にチェスをする老人にまつわるこの短編アニメーションだった。登場人物はたった1人。シンプルで、面白く、楽しく、ユーモアがあり、そして切ない。ピクサーの短編アニメーションの最高傑作はいまだこの作品だと思う。ゲーリーじいさんの正体が「トイストーリー2」でさらっと明らかになるのも粋。


7位「劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇」(今石洋之

劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇 【通常版】 [DVD]

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 テレビアニメーション天元突破グレンラガン」全27話を映画版として2部作に再編集した作品。の後編。ちょうど「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」が公開される直前に、露払い的に公開されたのを見に行ったんですが、いやあー・・・・これはね素晴らしかったね!うっかり見逃しててDVDで鑑賞していた前編「紅蓮篇」はややテレビ版の駆け足のダイジェストって感じでふーん、って感じだったんですが、後編「螺巌篇」はまさにクライマックスに次ぐクライマックスで体中から汗が出るほどに大興奮。映画を見る前には軽い尿意があったのですが、それがすっかりなくなってました。劇場版用の新規カットも大盤振る舞いでそれがまさに効果的に使われていて、とにかく大スクリーンで見られた事は本当に幸せな体験でしたよ。「パシフィック・リム」なにするものぞ、の力強さ。これが日本のアニメの底力ですよ。


8位「アニマトリックス

 東京を舞台にマトリックスの「バグ」を怪異に見立てた少年少女の冒険を描いた「ビヨンド」(森本晃司)、肉体を極限までに躍動させることでマトリックスを越えて「リアルワールド」を見てしまう陸上選手の物語「ワールド・レコード」(小池健)などの気鋭のアニメ監督による短編傑作を輩出したオムニバス・アニメシリーズの成功例。「マトリックス」のスピンオフとしてとりあえず設定さえ守れば何を描いてもイイ、という自由度が功を奏していて、バラエティに富んだ作品群が並んでる。川尻善昭監督作品もあるでよ。


9位「イノセンス」(押井守

 押井守監督のアニメーション最高傑作は未だ「御先祖様万々歳!」であると信じて疑わない私であるが、これはOVAであるため断念。で、何故本作と言えば、やはりこれほど押井守という異才が抜き身でアニメーションと格闘した作品はおそらく最初で最後だからじゃないかと思う。押井守という人の中にあるあらゆる妄念がこれほどまでに具現化し形となって表れている作品はちょっと他にない気がする。言わば「己を見せない」ことで演出してきた監督が、生身で勝負してしまった問題作。それゆえにその映像は麻薬的。たまに気がついたら再見してたりします。


10位「劇場版NARUTO 大活劇!雪姫忍法帖だってばよ」(岡村天斎

 ここは特別枠ということで。僕が早くアニメーション映画の新作が見たい監督として推したいのが岡村天斎監督なのである。現在はテレビアニメ製作で活躍中で、鈴木央先生初のテレビアニメ化作品で現在放映中の「七つの大罪」の監督などをしてらっしゃるのだが、実は大友克洋監督のオムニバス映画「MEMORIES」の中で「最臭兵器」を監督してらっしゃって、僕はそのオープニングからオチまでスラップスティックコメディアニメとしては日本でも群を抜いた完成度だと未だに思っている。その監督が唯一長編アニメーション映画を撮ったのが、奇しくも今月、本誌で完結を迎えた「NARUTO」の劇場版第1作なんですね。これもまた、映画内映画を撮るという物語を「NARUTO」世界の中に見事に取り込んでみせる粋な内容で、アニメとしても抜群に面白い。
 岡村監督におかれましては、機会があれば是非、アニメーション映画を再び手がけて欲しいと祈っている次第。



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