虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬」

toshi202012-01-21

監督:オリヴァー・パーカー
原案:ウィリアム・デイヴィス
脚本:ハーミッシュ・マッコール


 2003年に公開された「Mr.ビーン」のローワン・アトキンソンが主演のスパイコメディの続編。


 いやー、久しぶりすぎて大分内容忘れての鑑賞だったのだが、なんの問題もない。なにせ、前作からのつながりがほぼ断ち切られてる。元々英国諜報機関MI-7の内勤補助要員だったジョニー・イングリッシュは人手不足で急遽エージェントに抜擢され前作での活躍で祖国を守り、正式にMI-7のエージェントになったのであるが、ある要人警護の任務でミスをして、職を追われて行方知れずなのであった。ってところから、物語が始まるので、前作知らなくてもなんの問題もないです。
 で、彼はどこにいたというと、とある国で秘密特訓に明け暮れている。そんな彼にエージェント復帰の話が舞い込む。依頼人からの指名ということで、彼は早々に帰国し、さっそうとかつての古巣に乗り込むのだが、なぜかそこは東芝のビルになっていて、MI-7は日本企業の傘下におさまっていた。
 依頼の件は、中国首相暗殺計画の阻止。「ヴォルテックス」という謎の暗殺組織が関わっており、そのメンバーの3人の「鍵」がそろって初めて、暗殺兵器が使えるようになっているらしい。ジョニーはアシスタントを引き連れ、その「鍵」を手に入れるため、香港へと飛ぶのであった。


 まー、スパイ映画のパロディ満載とはいえ、「007」脚本経験者が手を入れた前作に比べ、「Mr.ビーン カンヌで大迷惑!?」のハーミッシュ・マッコールによる脚本の本作は、スラップスティック度(「ビーン」度)は上がっており、嫌いな人は嫌いなタイプの映画なのだろうが、とにかく予算の規模がでかくて、前作がイギリスを右往左往していたのに比べて、今回はチベット、イギリス、香港、スイスと世界を股に掛けて、ジョニー・イングリッシュがドジを踏みまくるのが可笑しい。
 例え「ドジ」でも「年長者の知恵(笑)」と「不屈」の闘志で任務を遂行するジョニー・イングリッシュは、一応エージェントとしての成長も見せており、香港での悪漢チェイスシーンで相手をおちょくるかのように軽々と追跡し、悪漢と対峙しても一歩も引かずに小細工を駆使して戦う様は、「ドジ」を繰り返すだけのキャラクターではなくなっている。
 そしてアクションもなかなか見せる。とくに暗殺者の濡れ衣を着せられたジョニーが「高速車いす」で逃亡するカーチェイスは、なかなかのくだらなさで、場面場面できちんと緩急をつけて、見せ場でありながら同時に笑いどころとしても兼ね備える冴えを見せる。
 クライマックスの舞台、スイスでのアクションもかなり大胆なアクションをやっており、パロディ映画でありながらも決して安っぽい方向に逃げないのは、このシリーズの素晴らしいところ。


 しかし、基本はコメディである。イギリス首相の会議での、椅子を使った小細工的なギャグから、ヘリコプターを使った大がかりなギャグまで、スラップスティックなギャグてんこ盛り。特に香港からジョニーを付け狙う「暗殺者の中国系ババア」が何度も登場し、彼女と別の女性を取り違えるネタは、オチがわかってても笑ってしまうギャグ。これが果てはとんでもない人物までもが、このギャグの餌食になってしまうのだが、それは見てのお楽しみ。
 とりあえず、ローワン・アトキンソンが死ぬほど嫌い、という人には無理には薦めないけれど(笑)、「Mr.ビーン カンヌで大迷惑!?」が大丈夫だった人には、とりあえず見てみれば?というくらいにオススメ。
 俺は大好きです。(★★★★)